2回目の夏期講習でも、1回目と同じように
秋山君はあたしに笑みを絶やさなかった。

秋山 駿吾

いよいよ夏休みが始まったね!夏期講習一緒に頑張ろう!

夏目 沙織

そ・・・そうね!がんばろう!

1回目の夏期講習のときは、秋山君と話せるのがうれしくて、ついついやたらに質問攻めにしちゃったんだけど・・・

今、思えばそれもフラれる原因になったのかもしれない。
でも、もしそうならば、何を話せばよかったんだろう?

あたしは自分でも分かるくらいのぎこちない笑みを浮かべながら、秋山君の笑顔から視線をそらした。

夏目 沙織

どうしよう・・・

夏目 沙織  

そうだ!必死に勉強して秋山君が話しかけにくい雰囲気にしちゃえばいいんだわ!

夏目 沙織

これなら実力も上がって一石二鳥だわ!

秋山 駿吾

すごい・・・!夏目さん、僕の話なんかまるで耳に入らないくらい集中してる・・・

秋山 駿吾

一緒に頑張ろうなんてむしろ失礼なことを言ってしまったかもしれない・・・

あたしは休み時間も一心不乱にペンを走らせ続けた!

夏目 沙織  

さすがに一日中、何も話しかけないのも気まずいなあ・・・

夏目 沙織  

そうだ!昨日図書館で予習したところを質問してみよう!

夏目 沙織

自身なさそうに正解を解いてみせて、これで合っているのか聞いてみればいいんだわ!

夏目 沙織

あたしがこんな難しい問題を解いたら秋山君も驚くぞ!

夏目 沙織  

あの・・・秋山君・・・ここの計算なんだけど

秋山 駿吾

えっ、何?この問題・・・

夏目 沙織  

これってこの式を代入して・・・

夏目 沙織  

こうすればあっているの?

秋山 駿吾

うん!それでいいはずだよ!!

秋山 駿吾

すごい!!夏目さん、何だかものすごく理解度が上がってるぞ!!

秋山 駿吾

きっと相当な時間、家で予習復習しているんだな・・・

秋山 駿吾

僕はいつも家で勉強してないから気まずいなあ・・・

秋山 駿吾

もう前みたいに気軽に話しかけられないや・・・

夏目 沙織

ふふ、この調子なら次の8月31日は・・・!

こうして、あたしは夏休み中ひたすら勉強しつづけた。

そのおかげで、何とか秋山君の第一志望の早慶大も合格圏内に入ってきた。

そして、2回目の8月31日がやってきた!!

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