マスター

そいやっ!!

マスター

ふん、お前の動きなどお見通しなのだよ
!痴れ者め!

マスター

わははは!
そうくると思っていたよ。
君も単純な奴だな。

マスター

くっ!

あの角度から来るときに反射的にダブルフリップしてしまう癖を直さねば。

ナルサワ

マスター、お客さん来ないからって遊びすぎ。
上達しすぎ。
マジに働いてくださいよ。
てか、イタイからいい加減やめて。

マスター

別にいいじゃないか。
どうせこんなチンケで小難しい店にお客さんなんて来やしないんだから。
真面目にやるだけ無駄無駄損損。

ナルサワ

ワォ!
居直りやがった。
てか、アンタにサボり魔演じられると俺の役割がボヤけてやりにくいんだよ。
お願いだからシャンとせえ!





















あのすみません。

ナルサワ

いらっしゃい。どうぞお好きな席へ…

マスター

いらっしゃいませ!ご注文は如何なさいますか?
もっともウチはコーヒーのホットかアイスしかございませんがね。ワッハハハハ!

・・・じゃあ、ホットを一つ。
あの、ちょっとお尋ねしたい事があるんですけ…

マスター

ちょい待ち!
その前に選曲を!
何か好きな曲を一つご所望下され。一生懸命youtubeで検索します!
あ、コーヒーもインスタントなのでお時間かかりませんからそのお尋ねしたい事を聞くまで賞味3分下され!
ナルサワ君、キミはバックヤードへ向かってくれたまへ!

ナルサワ

ワォ!
あんまりに久々のお客さん過ぎてぺラぺラと企業秘密話しちゃってるよ。
しかも“ちょい待ち”て。





そして彼女はホットコーヒーと


かき回すと次のエピソードのテーマ曲をドリップ




まんが日本昔話のOPをリクエストした。


クリックするとあの名曲が流れるよ

ナルサワ

何でだろう。
ずっと聞いてると無性に実家に電話したくなるな。
元気してるかな、マミー。

マスター

ところでお聞きしたい事と言うのは何ですかな?

着かぬ事をお聞きしますが、店先にあるお稲荷様について何かご存じではありませんか?

マスター

ああ、嬉(うれし)の森稲荷神社の事ですかな?

そうです。この場所にとあるキツネの言い伝えがあるのはご存知でしょうか?

マスター

いや、初耳ですな。

江戸時代、この辺りは浅草三大池といわれた花川戸近辺の達磨池のそばの嬉の森がありました。
そこは小さな丘で樹や竹が生い茂っていて、一説には入り江に面したこの花川戸の森が船着き場だったのではと言われているようです。

マスター

ほほう、私よりもお詳しいですな

ナルサワ

メガネっ子歴史美少女・・・いいな

実はちょうどこのお店の近辺でその時代にまつわる言い伝えがあって…通称キツネと狩人の話なのですが…




次回
『冬のハンター』

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