……

なによ……これ……

……そんな、バカな……。
何が起きているんだ?

血だらけ……!?

なんで、こんなことが……?
誰が違反でもしたというの……?

最初、何が起きているか分からなかった。
だが私と……周防さんは、呆然とその光景を見下ろすしかなくて。
徐々に冷静になる頭が、現実を受けいれた。

三週目のゲームに望んだ私が見たもの。
それは、血達磨になり床に倒れている皆の姿だった。
生きているのは、私と周防さんだけ。
呆然と、立ち尽くす。

周防さん……

『向こう』からこちらにくるまでに、何かあったわね
私達はなぜか生きているけれど……

でも、意識がこちらに来てからだし
何があったか理解できないわ
後で、あの子に聞いてみるしか……

私達はあの空間からゲームに入るまで、意識に若干のタイムラグがある。
その間に起きていたことは認知できないらしい。
だから、遅れてきている意識では推察するしか。

これって……どうなるの?
私達……

わたしも稀にしか経験していないけど基本勝ち
時と場合によるけれど
違反による粛清で全滅って扱いだから
わたしは今回村人だったわ
金島さん、役職は?

狩人……

過去にもこの手のことはあったと説明する周防さん。
いわく、暴走したり発狂した参加者が強引に物理的な殺しを発生させ、粛清されるまでの間の僅かな間に殺せるだけ殺す奴もいるのだそうだ。
今回の場合は……運良く、私と周防さんが殺される前に犯人も粛清され、全滅。
村人と狩人である私達村人陣営の勝利。
ただ、ゲームの根幹を否定する勝利だった。

一ノ瀬さん……

一ノ瀬さんも、死んでいた。
でもこれで、一ノ瀬さんは勝利条件を満たした。
同陣営だった場合、死んでいても最終的に勝利すれば、回数としてカウントされると聞かされている。
だから、一ノ瀬さんが同じ陣営なら、彼女はクリアという扱いになる。
お礼、言う前に死んでしまった……。

この上ない幸運ね
苦しむこともなく殺すこともなく、自滅で勝利できた
漁夫の利は早々できないから貴重な一回だわ

すごく、嫌な気分……
喜べないよ、こんなの……

確かに自分だけが得をしたという考え方なら最高だ。
勝手に死んで、こちらは何の苦労もない。
正に理想の勝利だ。
だけど……私は喜びたくない。
こんなの、ゲームじゃないよ……。
ただの虐殺だよ……。

あなたは前向きだけど、優しすぎるわね
そしてあれこれ考えすぎる

いいのよ、勝てれば
あなたは何も悪くない

…………

やっぱり、経験の差だ。
周防さんは最早慣れている。
場数が違いすぎる。
私は、こんなのは嫌だ。
これで、一回分の勝利だなんて。
私は悪くないけど。私は何もしていないけど。
それでも……気分は悪くなるよ。

時々はこんなこともある
覚えておくといいわ

……うん……

渋々、私は頷いて彼女についていく。
仕方ないこと。頭じゃ理解している。
……そういうものなのかもしれない。

戻りましょう、向こうに
今回は本当に運が良かったわ

じゃ、また後でね

???

おかえり、二人とも
あれは驚いただろう?
私も目を疑ったよ……

何が起きたの?

見ていたんでしょ?

???

澪の推測通りさ
新しく入ってきた奴が発狂して殺した
粛清されるまでに、二人以外の全員を
狂っていたにしては手際が良かったよ

新しい人……?

???

八乙女という女の子の次の参加者
名前は……九重雫と言ったかな

……あれ?
でも私まだいるよ?
数字は重なるの?

たまにね
でもそれはリーチかかってる人だけよ
今回は……一ノ瀬さんと金島さんの1と9

そっか……珍しいことじゃないんだ

???

でもあの子は精神がおかしかった
最初からヒステリーを起こしていたよ
恐らく、きている時点で発狂している

???

今回は楽して勝ったようだけど……
次は気を付けたほうがいい
あの子は間違いなく、ルール違反常習になる

???

暴力も辞さない野蛮な人種だ
二人とも、心してかかってほしい

難易度があがったみたいだね……
覚悟しておくよ

敵味方関係ないのね
分かった、覚えておくわ

最後の一回なのに……
でも頑張ろう!!

わたしも早く抜け出せるように頑張ろう
一緒に飛ばしていきましょう!

りょーかいっ!!

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