【12】第3の試練:ステンドグラスの謎









































来栖 康青

あー?


それから男だけで探索を続けること数十分。


ふいにオッサンは天井を見上げて
奇声を上げた。

剣持 朱梨

なんだよ、変な声上げるなって

来栖 康青

見てみぃ、あんなところに女の子の像がある

剣持 朱梨

ん?



指さすほうを見上げると
シャンデリアの台座に隠れるようにして

白い服の少女の像が
天井に貼りついていた。



剣持 朱梨

うわなにあれ、キモっ!!

像は背中を天井に貼りつかせた状態で
顔をわずかに
持ち上げた指先のほうへ向けている。



だから下から見上げている俺らと
視線が合うことはないのだが
いかんせん
そんな場所にそんな体勢で
像が貼りついていること自体の異常さに


なにかうすら寒いものを感じる。


来栖 康青

……精霊の、姫?

剣持 朱梨

あれが?



姫と言うなら
もう少し愛らしく作ってもらえないだろうか。

いや、造形はいいのだろうが
体勢が悪い。



暗いところで
あれだけ浮かびあがって見えたら
軽くホラーだ。


剣持 朱梨

でもあんな高いところのやつをどうしろと



そうでなくとも
ホールの天井は他の部屋よりも高い。

俺とオッサンで肩車したって
きっと手が届かないだろう。


どちらが下か、とかは
考えないようにしておくが。


来栖 康青

アイテムが全て入手できるとは限らないぜ?

来栖 康青

よくあるだろ?
銅像が見ている先、とか、夕焼けで伸びた影の先になにかあるとか

剣持 朱梨

あの姫さんの見ている先……



俺は像が見ている先――
――というよりも指さしている先に
視線を投げた。


取り囲む円柱の隙間を抜けて
彼女の指は
まっすぐその先を指し示している。









その先には



古びたステンドグラスが
窓枠にはまっていた。


来栖 康青

黄色い薔薇ってところがいかにもそれっぽいねぇ

剣持 朱梨

感心してる場合じゃねぇだろうよ





俺は窓枠を掴むと
上下左右に揺さぶってみた。



古くてつなぎ目なんかが
緩くなっているのだろうか。
カチャカチャと音はする。

剣持 朱梨

……開かねぇ

来栖 康青

お前さんはいっつも力任せだなぁ



四苦八苦していると
オッサンが呆れたような声を上げた。

来栖 康青

もしキリオがここを開けて出て行ったんだとしてもだぞ?
誰も物音を聞かなかったんだ。
もっとなにか方法があるだろ?

剣持 朱梨

静かな、ってどんな

来栖 康青

例えばこれ



オッサンは壁を指さした。

先ほどと同じような
金属の板が貼られている。

剣持 朱梨

また暗号……

来栖 康青

今回は親切なおまけ付きだぞ?

剣持 朱梨

なんでこっちはこんなにわかりやすいっすか?

来栖 康青

さあねぇ

来栖 康青

とにかく間違えたらなにかが起きるんだろう。
よく考えないといけないな

剣持 朱梨

キリオが言ってたやつ、かな

来栖 康青

んー?
あの時間を巻き戻るっていう素敵なお話のことか?

来栖 康青

あり得ん、と言いたいが……なぁ



あり得ない。

でも戻ることで虎次郎やキリオが
いるあの時間に戻れるのなら
それでもいい気がする。

来栖 康青

……それでまた死んだ死なないってやるのか?
俺はごめんだな





俺たちはもう1度暗号を見た。

剣持 朱梨

道を開いて
走る我々を
人と精霊と
楽園は見つからず
ただレールの上と
ルールは無き

来栖 康青

我々、って言うからには複数なわけだ

来栖 康青

レールっていうのは線路などの道筋。あとはカーテンレールみたいなのもそう言うな

■試練3

暗号を解くとある文字列が見つかります。
文字列がステンドグラスを開ける条件です。
その条件を見つけてください。



A:姫の像の手を握った時




B:時計が時を告げた時



C:2人同時に窓を叩いた時

【12】第3の試練:ステンドグラスの謎

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