【5】真実の扉
わかった!
嬉しそうにガッツポーズをしたオッサンに
俺たちの視線が集まった。
なになに! 早く教えて!!
急かすなって
オッサンは暗号が書かれたレンガに
目をやった。
いいか? まず「7人の首」。
これは俺たちの名前の頭の文字を示すんだ
剣持の「ケ」
小鳥遊の「タ」
綺羅星の「キ」
深見の「フ」
来栖の「ク」
キリオと立花は「キ」と「タ」。
綺羅星と小鳥遊とダブるから、一緒と考えていい
で、その5文字をこの表に捧げてみると
残った文字は「イロヲウシナイシモノ」。
「色を失いし者」だ
色……?
で、もう1回名前を見よう。
剣持 朱梨の「朱」
小鳥遊 杏子の「あんず」
来栖 康青の「青」
キリオ=ブラウンの「茶」
深見 美登里の「緑」
……うさぎと虎次郎が残るな
そう。で、虎次郎くんが言ったことを憶えているかな?
「綺羅星うさぎ」は芸名で、本名は……
多智花 さくら、よ
そう、「さくら」。
これでうさぎくんも消える。
だから「色を失いし者」、色を持っていない者は……
立花 虎次郎……!
!!
!!
おい! 虎次郎は何処だ!?
虎次郎くんがいそうな場所、
シアタールームは!?
ほら、うさぎちゃんのDVDがたくさんあるって言ってた……
行こう!!
シアタールームには
誰もいなかった。
ただ、机の上に散乱したDVDと
大画面の中で飛び跳ねている
「綺羅星うさぎ」がいるだけ。
でも
今の今まで
いたみたい、ね
トイレにでも行っているのかしら
彼のことだからDVDつけっぱなしで席を外すとは思えないなぁ
一時停止とかにするんじゃない? 普通
中座したとも考えられるが
オッサンが言うように
普通は止めてから出ていくだろう。
俺だって
一時停止ボタンくらい押す。
巻き戻すの面倒だし。
まぁ……よっぽど漏れそうだったのかも
しれないけど。
それっくらい不自然だった。
あ? なんかある
崩れたDVDの山の中にひとつだけ
異彩を放つパッケージを見つけた。
パステルカラーや原色のチカチカした
パッケージの中で
ひとつだけモノトーンのそれは
どう見ても「綺羅星うさぎ」ではない。
なになに……?
きゃっ!!
どうした!?
何気なく
ソファのクッションを取った杏子が
小さく悲鳴を上げた。