これで、全てを終わらせる。

もうこりごりだ。
こんな殺し合いも、こんな巫山戯たゲームも。
何より、こんなことを強いられていた自分も!!

二度とやるもんか。
二度とくるもんか。
これでもう縁のない世界にしてやる。

終わりにするんだ、これで!
下らない探り合いも、下らない罵り合いも。
これで日常の世界に帰るんだ。
そのために人を殺したんだ!!

だから……そのために。
あいつを、殺すんだッ!!

???

驚いたな
意識があるのかい?

???

君は……
そうかい、勝ったんだね

???

然しついていないね
ここは君が思っているような場所じゃないんだ

???

どうせ忘れてしまうだろうけど、教えておこうか?
知りたいのなら、知りたいうちに全部聞いておいたほうが賢明だよ

???

ここにいられる時間はそう長くない
次のゲームが始まるまでの小休憩みたいなもんだから

???

まず先んじて告げておこうか
後で文句を言われても困るからね

???

君はまだ、ここから出られない

???

理由?
そんなの簡単さ
君はまだ、条件を満たしていないんだ

???

ここから抜け出したいなら、あと二回
あと二回、ゲームに勝利しなければいけない
とはいっても、まだどうせくるんだろうけど

???

ここは円環みたいなもの
連綿と続いている無限の世界
始まりが無ければ終わりもない
わかりやすいだろう?

???

……分からない?
じゃあもっと噛み砕いて教えようか

???

円環っていうのは色々意味があるけど、簡単に言うなればループさ

???

1から始まり、10で終わり1に戻る
それの繰り返しをしている世界がここ

???

私がいるここは『10』の向こう側だよ
強いて言うなら、『11』になるかな?

???

でも君が行きたいのは、多分そういうことじゃないよね
繰り返す世界じゃなくて、果てのない続いていく世界だよね?

???

1から始まったら、何処までも続いていく世界
君が元いた世界はそこなのかい?

???

……成程、そういうことか
時の迷子なんだね、君は
何処から迷い込んだんだろうねえ?

???

私に言われても正直わかんないよ
私が知っているのはあくまで『1』から『10』までの一連だけだもの

???

本当についていないよ
こんな無限軌道のような世界に巻き込まれて……
脱出方法を探したいの?
なら、あと二回勝てばいいよ
でも次巻き込まれない保証はないけどさ

???

何度も言うけど、回ってる世界だよ?
ぐるぐるぐるぐる
ただ繰り返しているだけの
ここから出ても孰れまた引き寄せられて吸い込まれ、歯車にされてしまうよ

???

ここはね
延々とゲームを続けている箱庭なんだ
参加者は一人ずつしか入れ替われない
合計三回勝てば順番待ちで出られる
把握している限りはそれがルールかな

???

取り込まれたら、出るのに苦労するっていう
まぁ、『11』で意識があるのは過去の例を見て君とか一部の人間だけだけど

???

そう……
ゲームが始まり、ゲームが終わるまで
それをただ永遠に続けていく
それが、何処かの世界の誰かが作ったこの場所

???

私が分かるのは、ここまでかな
どうする? 君はまた挑むんだろう?

???

……そっか
また、あの世界に行くしかないんだね
じゃあ、最期に私が一つ助言をしよう

???

勝たなきゃダメだよ

???

恐らく君は『11』で意識の保てる希少な人間なのだろう
だから、殺されたりした場合もこっちにはこれると思う
ただ、それは敗北……負けちゃってるから
それじゃあ、君は脱出できない

???

ゲーム終了して、どの時点でここに来るのかは知らないけど、きたらまあ、回数の確認と助言ぐらいはしてあげるよ

???

私はゲームの傍観者に過ぎないからね
ここで君たちの殺し合いを眺めている
ただの観客さ

???

楽しんでいるわけじゃないよ
私も似たようなものなんだ
なぜかここにいることを義務付けられているみたいだし私自身も分からない

???

……少し、お喋りしすぎたみたいだ
お迎えが来たみたいだよ?

???

じゃあね、また会おう
君が勝ってここに来る事をせめて祈っているよ

???

では、行きましょうか……

???

これより、第4285回目の『人狼ゲーム』の開催を宣言いたします

ちょっとどうしたの、と誰かに呼ばれる。
それは私のことだった。

へあぁっ!?
すんませんっ!?

私は慌てて意識をはっきりさせた。
あれ、今私何してるんだ?
呆然としているには、妙に意識がクリアだった気が……。
どうやらボケっとしていたらしい。
周りから懐疑的な目で見られている。

え、あと……

あぁ、そうだった。
今は……自己紹介をしているんだった。
私の番だったんだな。いそいでしないと。

わ、私は金島旭(かねしまあさひ)といいます

よろしくお願いします、とは言えないだろう。
だってこれから、私達は……。

……あれ?

これから……なんだ?
これから、何が起きるんだ?
現状、何も分かっていないはずなのに。
何で、私は『これから』なんてことを考えた?
その先の答えも出ていないのに。

……?

自分で自分が怖くなった。
何を考えているんだ私は。
もしかして、異常な環境に頭までおかしくなってしまったんだろうか?
落ち着け、何とかなるから。何とかするから。

カンナ

わたし、一ノ瀬カンナ

ミカ

ミカです、四宮ミカ

五郎

自分は!
太田原五郎でありますッ!

なつき

八乙女なつき

むつみ

丹下むつみっていう
よろしく

珊瑚

あたし、二木珊瑚(ふたきさんご)
よ、よろしゅう……

悠也

……三滝悠也

菜々子

秋野菜々子です
こちらこそよろしくお願い致します

周防澪(すおうみお)

自己紹介が終わった。
……でも、違和感。

……あれ?
ゼロなんていたっけ?

分かんない。
気のせいかもしれない。
というか、気のせいだろう。
うん、気のせいだ。
胸のざわめきは消えないけど。
きっと関係ない。
そう思いたい。

これからどうなるんだろう、私……?
『脱出』、出来るかなぁ……?

序章 エピローグ プロローグ

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