…………クリエよ
……何?
「ごちそうさまでした」は?
ザートさん、ごちそうさまでした
いえいえ、お粗末様でした
お前にエーデルシュタイン家らしくあることを強要したことは数回もないが、せめてもう少し静かに食べられないのか
美味しかったから、つい
…………
……ザート、戻ってきなさい
さて、今日は何の用だ、クリエ?
何って?
わざわざ昨日に引き続き会いに来てくれたからだ。まさか、本当に食事を取りに来ただけではあるまい?
…………うん
プルートシュタイン家って、どんな家柄なの?
……そうか、今度はプルートシュタインか
お前でも、ピルツのような小物とは格が違うことは感じたか
うん。まざまざと
プルートシュタイン家は……私はあまり好かないな。あの家は上昇志向が強いというか、貴族意識がとても強い家系だ
……確かに
それに、先々代から妙な連中と関りを持ち始めたと聞いている。真偽のほどは分からんが、最近のプルートシュタイン家の勢いは何か暗いものを感じる
妙な連中……
まぁ、どんな上流貴族にも黒いものはあるって話だ。我がエーデルシュタイン家も含めてな
だから、頼むから無茶だけはしてくれるなよ。家名が落ちることなんかよりも、お前がいなくなることの方が私は辛いんだ
旦那様……
大丈夫、絶対にちゃんと帰ってくるから
約束する
入ってください
失礼します
貴方がローテ様ですわね?噂には聞いておりますわ!
……ありがとうございます
なんでも、前に怪盗シャムロックを追い詰めているとか。今回も期待しておりますわよ
……失礼ながら、ダリア様。怪盗シャムロックは強敵です。我々軍や私兵だけで捕らえられるかどうか……
軍の殿方は皆貴方のように弱腰で意見するのですか
……申し訳ありません
心配には及びませんわ。対策は万全ですし、こちらには切り札がありますもの
……切り札とは?
入っていらして
…………
……ダリア様、この者は?
先程お話した切り札ですわ。とある方から破格でお借りしたのですけど
とある方、ですか?
そのお方、とても不思議なことを言っていたんです。ローテ様は信じられますか?
このお方の臓器、宝石なんですって