入学式の翌日、さっそく高校生活が始まった。
桐子と詩音は教室に入って、自分の席を確認する。
出席番号の関係、苗字の上の文字の関係で席は離れている。
小邑と野川だったらそうなるのは当たり前だよねと思っていた。

なんか嫌な予感がする

桐子が休み時間になって言い出した。
友達が奇跡的にできた桐子と詩音は昼休みになって、新しい友達とお昼ご飯を食べることになったのだが、新しい友達が購買に出かけたので待つことになった。

野川 詩音

どうしたのよ?

なんとなく。昨日の人たちと関わったら嫌だなあと思って

と、二人で秘密の話をしようとしたところ、新しい友達が帰ってきた。
パンを1つ、そしてゼリーを3つ抱えてきた。

おまたせ、戦利品だよ!

野川 詩音

おお!ありがとうよ、忍さん

ゼリー!!

新しい友達の名前は見沢 忍。
良い人である。詩音の隣であり話をしたら仲良くなった。

野川 詩音

購買どうだった?混んでた?

すごかったよ。人気のパンがあるらしいけれど、それを知る前に売れ切れちゃったよ

ほのぼのと会話をしていたところ、桐子は周りがいきなり静かになったことに気付いた。
男子全員がスマホを見ている。女子は男子の動向が気になっているようだ。

何やっているのだろう。だんだんとざわめいているようになったが…。

桐子の嫌な予感が当たった。
どこかからか教室に足音が近づく。
ゆっくりとしっかりとした足音が響いた。
そして開いているドアから覗いたのは防衛隊のリーダーと、昨日理事長室で見た木原悠月だった。

小邑さんと野川さんっているかな?

潤さん、こっちですよ

桐子と詩音は自分たちが都合の悪い状況に立たされていることを知った。
そして忍が防衛隊の手先であり、自分たちははめられたことを悟った。

なにか武器はないかな

と思ったら、詩音が弁当のメインである豆板醤入りのハンバーグを口に入れようかと提案してきた。

野川 詩音

桐子の激辛ハンバーグを口に入れようよ

私の料理を侮辱する気か!

野川 詩音

これはどう見ても武器でしょう。辛い物が苦手な私にとっては殺人兵器よ

桐子と詩音の味の好みは異なっている。
桐子は辛い物を好み、詩音は甘い物を好む。
カレーの辛さについては中辛でなんとか妥協をしている。
さて、豆板醤は麻婆豆腐に使われるのだが余ってしまったのをなんとかしてハンバーグの具にしたのである。
桐子としては豆板醤を米にまぜてピラフ状態にしたかったのだが、詩音に止められたのだ。
という二人の対立の経緯がこのハンバーグから語られている。

わかったよ。やりなよ

今は食べ物の大切さを語るという場合ではないので、桐子は自分の力作をリーダーと悠月へと持ってきた。

防衛隊の人が来たということは…

突然でごめんね。話をしたいけどいいかな

木原 悠月

ちょっとでいいから。お願い

いいですよ。条件があるのですが、これを食べてください

後ろでは詩音が笑顔で立っている。詩音は自分の分と桐子の分のお弁当とスマホを持っていた。
リーダーは桐子からハンバーグを渡された。

木原 悠月

これは?

ハンバーグを食べればいいのか

はい。条件を飲んでくれたら私たちはおとなしくついていきますよ

いただきます

桐子はリーダーが涙目になることを期待した。豆板醤の威力に勝つかどうか、相手の顔を見る。
しかし、

すごい、これは最高だ。天才だね

リーダーは武器のつもりだった豆板醤入りのハンバーグを絶賛していて涙目にはならなかった。
そのため桐子と詩音はおとなしく連行されることになった。

今度はハバネロを混ぜようかしら

桐子は自分の力作について反省会を脳内で開催した。

人生がつまらないと感じたときは、自分の思い通りにならないことだ。

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