……眩しいな

目が覚めてすぐ、俺様は鋭い日の光にイラついた。

何だ、どうやらあの夜この山に帰ってから、いつものねぐらに戻らずに寝てしまったようだ。

それにしても、こんな時間に起きるとは、全く嫌になる

いつもなら日の出ている内はぐっすり眠っている時間だ。俺様の起きる時間は、いつも決まって日の沈んだ頃、月の光の恩恵を受ける時間だ。

吸血鬼に日の光は天敵だ。つまり、昼間は俺様はほとんど自由の利かない身となる。

だが。だとすると木の陰になっているとはいえ、俺様がこの中で動けるのはおかしい……

日の光に触れると、吸血鬼である俺様は体が燃え上がり、灰になる。

と言っても、俺様の再生力が強すぎる故に、灰になった直後には再生し、延々とその地獄の輪廻に囚われることとなる。

その俺様が、吸血鬼であるこの俺様が、どうして平然と憂鬱に浸れるのか。

まあ、理由は分かっているがな

俺様の吸血鬼たる力が挙がった出来事と言えば、かぐやの姫の血を吸ったことだろう。

そう言えば、いつの日かあの姫との再開を約束したのだが、いつのことだったか……今日があの夜から何日たったのかが分からないからな

まあ、どうでもいいことだ。俺様が行きたい時に行くだけだ。あの姫は人を待つのが好きなようだしな。

いや、それではダメか。あの姫様は次に会った時に、俺様に名前を与えてくれると言っていたな。くくく、やはり今夜にでも行こうか

だが、実を言えば俺様は、かぐやの姫が考えていた名前とやらを知っているんだよ。

思えばあの時、『次に会うまでに考えておく』などと言っていたが、もう思いついていたようだった。

と言うより、俺様と初めて出会ったあの日から考えていたようだ。

なぜそんなことを知っているかって? 

それは、いつか訪れる番外編でだ

ふん。では今夜あの姫から名前を授かる為に、もう少し眠っておくか。

そう思った俺は、近くのくぼみに入って横になる。

あの名前を、あいつの口から利けるのを楽しみにしておこう。

いやいやそれにしても、あんな名前を考えるとは、姫様もつくづく面白い奴だ。

なあ、あの姫様

どんな名前を考えていたと思う?

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。

ついに、一応の完結を迎えました。お気に入りやコメント、そして読み続けてくれた読者の皆様、お付き合いいただき本当にありがとうございます。

地震が落ち着いた後で再会した大学の講義が以外にきつきつで、中々パソコンに向かう時間がありませんでした。

予定より遅れた完結となり、少し残念に思っています。

それでは、他の作品でまたお会いできることを願って、今回はこの辺りで失礼します。

16.エピローグ~とある鬼の視点より~

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