瑞希が殺されたのは夜の間であるということが推定されたのは、死亡推定時刻と胃の中の様子、そして死後硬直などからである。
 死体の発見は桐子と詩音と発見現場をたまたま通り過ぎた犬の散歩ずれのおじさんである。

 瑞希が消えたのは金曜日の夜である。
 瑞希は行きたい高校があるため、塾に通っていた。金曜日の夜9時に終わり、駅からバスで家に帰るという予定だった。
 9時半に帰宅していくはずなのだが、何分過ぎても帰ってこなかった。

木原 悠月

それで、二人に連絡が来たってわけですか

ああ。親御さんから娘を知らないかと尋ねられたらしい。
桐子と詩音の携帯電話には何も連絡なかったそうだ。

 二人は翌朝、早く起きて友人である瑞希の捜索に協力した。
 その朝も雨が降っていた。
 外は休日であるため人は少ない。
 休日の朝はのんびりと過ごしたい人が多いため人もまばらだ。

木原 悠月

三人でよく行く場所を重点的に探していたところで、見つかったわけですか

遺体はひどかったそうだ。真っ赤に血まみれであったらしい。
詩音ちゃんと散歩ずれのおじさんはすぐに気絶したらしいが、桐子ちゃんが唯一気を保って友達の親御さんに伝えにいったそうだ。

 詩音と桐子は友人の変わり果てた姿を見て、病院にて点滴を受けて気を失っていた。
 彼女らが目覚めると、様子が変わっていた。

木原 悠月

真実を突き止めるって宣言しだしたのですね

ああ。大人がやるから子供は黙って見てなさいと言われても反抗しだしたそうだ。
その日を境に深夜徘徊を始めて、ずいぶんと熱心に真実を探し始めたのさ

 良い子だった子供から、大人へと変わってしまった桐子と詩音。
 通常の人から離れてしまった。
 桐子は死体をたくさん閲覧するようになり、詩音は演技をするようになったという。

木原 悠月

深夜徘徊って、危ないですよ。女の子なんだから

それ、あの子たちに禁句な。言ったら君がぼこぼこにされるよ

木原 悠月

いいですよ。俺、可愛い子に殴られるの大好きですから

 理事長は悠月を代表として頼んだ。
 桐子と詩音がもし、危ない道に入ってしまったら踏みとどめてほしいということだ。

木原 悠月

危ない道ってとっくに入っているから難しいと思いますが

いや、二人が殺人を犯さないようにってことだ。
いつも会話をしているけれど、信用できにくいところがあってね

木原 悠月

二人が危ないことをするとか、絶望して自殺するとか、そんな感じですか

そう。強い意志を持っている子だから最悪のことはないと願いたいところなんだけどね

 悠月は理事長室を後にする。
 ひとまず部室に戻って、作戦会議でもしないといけないなと思った。

木原 悠月

桐子ちゃんと詩音ちゃんか…

 殺人鬼を追うという話。そして、その犯人を問い詰めて、すべて解決した先、二人は何をするのだろう。
 過去は過去で変えられない。
 亡くなった友人が戻るわけでもない。
 危ないことは警察や大人に任せるなんて道を選ばず、二人は動き出した。

木原 悠月

どうなるのかな

 悠月は思った。
 桐子と詩音に話をしてみたい。
 ナイフとか、思惑とかなし、下心もなく。
 仲良くしてみたいなあと思った。

さようなら、今までの世界。こんにちは、現実の世界

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