06.理事長
06.理事長
私たちは体育館に遅れて来た。
…あのような事件があったから仕方がない。
…私はいつも何か起こるたび、”仕方がない”と済ましている。
おいっ!!おまえら、遅いぞ!!
そう言って、嵐は豊の胸倉を掴んだ。
…。
豊は無表情で抵抗はしなかった。
豊はただ、ただ、ぼーとしていたのである。
…おい。
その時だった。
…時和君、ここは学院の中だ。
暴力はいけないね…。
君が今している行為は…”規則”に反する。
…”礼音先生”!!
”羽毛 礼音(うもう れおん)”先生。
今年入ったばかりの先生だ。
私たち3学年の副担任をしている。
常に規則には厳しいが、礼儀正しく、優しい。
時和君…君はいつも、熱心に頑張っている…。
それを無駄にしないように。
…はい。
ありがとうございます。
…さ、自分のところへとお戻りなさい。
嵐は無言で会釈をし、その場を立ち去った。
…あの、ありがとうございます。
ああ、霧雨さんか…。
僕は何もしていないよ。
当然のことを言っただけでね。
そう言うと、礼音先生は舞台裏へと消えていった。
私と豊はクラスの最後尾に座った。
…これより、緊急集会を始める。
起立っ!!
…これより、緊急集会が始まったのである。
-続く