夜太

さて、じゃ太郎には、平泳ぎを教えてあげようかな

太郎の手を持ちながら、夜太は太郎に説明をはじめた

太郎

平泳ぎ?

夜太

そうだよ、手を水平に、水をかくように、そして、足で水を蹴るように、進むんだよ
水に顔がつかない感じで泳げて僕は好きなんだ

太郎

そうなんだ、、、
こんな感じ?お父さん?

太郎が夜太の手を握りながら、水を蹴る

夜太

うん、うん、そんな感じかな、じゃ、ちょっと手を離してみるね

夜太が、太郎の手を離す、
浅瀬の為、太郎の身長でも水から顔が出ていた

太郎

ヨーシ、、、エイ!

勢いよく、水を蹴り、前へ進もうとする太郎だが、あまり前へ進めない

夜太

うーん、、、惜しいなぁ、、、
もうちょっと、水をかく、手を意識すると前に進みやすいかもよ?太郎?

太郎

難しいなぁ〜

何度か挑戦する太郎

夜太

まぁ、そんなすぐに覚えられないかな?
頑張る太郎は可愛いけど、、

ふと、夜太が太郎から、目を離し、彩を見た
彩はこちらを笑顔で眺めていた

微笑ましいわね、
家族って素敵だわ
頑張る我が子は可愛いし、、

夜太

彩も機嫌よさそうだし、なによりだ

ふと、太郎に視線を戻すと、、

太郎

お父さん、こんな感じかな〜?

信じられないくらい、綺麗な平泳ぎをしていた太郎がいた

夜太

えぇぇ!!教えて間もないのに!すごいね!太郎!!

太郎

お父さんの説明がわかりやすかったからだよ〜気持ちいいね!泳ぐのって!

夜太には一体なにが起こっているのか、理解できなかった

お上手ねー!太郎ー!

遠くから彩の声が聞こえた

夜太

いや、いや、尋常じゃないスピードでマスターし過ぎでしょ、彩なんとも思わないのかな、、

夜太の思いとは対照的に、太郎はスイスイと水の中を動き回っていた

私達の子は天才なのよ!ねぇ〜夜太〜?

彩は嬉々と喜んでいた

夜太

まいったね、、、あはは、、
僕からあんまり離れちゃダメだよ?太郎

力なく薄ら笑いを浮かべ太郎を見守る夜太

太郎

うん!ありがとうお父さん!
見ててね〜!

楽しそうに水から顔を出している太郎を見守る夜太

夜太

太郎、あんまり遠くに行っちゃ流れが変わるから、、、

夜太が言い切る前に、太郎の様子が変わった

太郎

うわぁー!流れが早い!お父さーん!助けて!

夜太

しまった!!
太郎ーーー!

夜太が叫びながら川に飛び込んだ

太郎を助けて!夜太ぁぁぁ!

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