に、が、し、ま、せ、んぅ……。
ニャーッ!?
ニャーッ!?
に、が、し、ま、せ、んぅ……。
……無様な仲間割れが始まって、逃げ出した猫を追いかける悪魔のツッコミが勝手にあらぬ方向に進んでいく。
うさぎたちものんびりその後を追う。
そして壁を破壊して彼女が出たのが、美しいステンドグラスのはめられた教会ゾーン。
沢山の長椅子が設置されている区域だった。
このような場所があるとはな
教会か
本当に軍備施設とは思えないな
ブキミデスネ
それよか、いい加減止めようよ……
華奢な細腕から変わった豪腕が振るわれる度に、空気が震える。
猫らしい俊敏性で何とか回避しているが、二人して結構ピンチだった。
に、人間さん……
もうあたしが悪かったから、許してくださいお願いします!
ニャーっ!
ごめんなさーーーいっ!!
逃げ回っても勝ち目がないと分かると、ダブルキャットは直ぐ様土下座した。
異形となったクロノは掠れた声で笑いながら、言う。
わかれば、いいんです……。
うぅ……身体中が痛い……
マジナイって恐ろしい……
コミカルな音と煙を出して、尻餅を付いた状態で元通りになるクロノ。
結構体力を使うマジナイだった。
原理とかそんなのはとりあえずいいとして。
二人とも
クロノさんにストレス与えちゃダメだよ?
えぇ……気をつけるわ
うちもきをつけるね……
反省したダブルキャット。
クロノとも仲直りして、これで一件落着。
なんてなるわけなかった。
……新しいお客さんの登場だった。
クロノはいい加減、慣れたように気だるけにそちらの方を見ると、大量の生物兵器達がこちらにのろのろと歩み寄ってくる。
はぁ……またか……
この短時間で恐怖体験を繰り返して感覚が麻痺ったらしい。
最早面倒くさい以外に何も感じなくなった。
まだきやがったか……
レパートリーに困らねえ場所だなオイ
いい加減に面倒だな
施設ごと吹き飛ばすか?
最悪それも検討に入れとこ
わたしらなら生き埋めとかないから
何はともあれ、アレだけの波状攻撃
突破しないことには移動もできないわ
めんどくさーい
物騒なことを言い出す始末の仲間たち。
尽きない相手の戦闘に飽きてきたようだ。
だからって言って、逃げ続けても追っかけてくるだけですよね……
微妙なところに、紅茶が名案を思いついたように言い出した。
あっ、そーだ!
ねえねえ、今回から普通に戦わない?
さっきいいもの拾ったんだ!
じゃんっ! と紅茶が持ってきていたバックから何やら取り出す。
それは一応、軍備施設ならではの物品だった。
あ、拳銃……
ナイフモアリマスネ
物色していたときに持ってきた武器だった。
拳銃とナイフ、それに予備弾薬。
紅茶が胸を張って振舞うが、その背後には既にバケモノが一体迫っていた。
危ないと思った瞬間、クロノが覚醒する。
伏せてッ!!
あぇ?
言われるがままに伏せる紅茶。
眼前の銃をひったくり、安全装置を素早く外して構えるクロノが、発砲した。
背後にいたバケモノの脳天をぶち抜いて、殺す。
悲鳴を上げてバケモノが倒れるのを、屈んだまま後ろを見て確認する紅茶。
ほぉ、新人
慣れた手つきだな
中々に正確な早撃ちか
やるじゃねえか
仲間が意外な特技? に感嘆する。
照れたようにクロノは笑って理由を語る。
銃があるならお任せ下さい!
私、こう見えても子供の頃、アメリカで射撃訓練受けたことあるんです
あら……そうなの
人間さん、十分強いのね
すごーい!
いやいや、それ程でも
彼女の撃つ弾丸が、確実にバケモノの頭部を貫く。
無駄のない動きでリロード、再び迎撃する。
彼女だけに任せるわけにはいかないと、人間組も銃を使って応戦開始。
人外組は。
せいッ!!
トァ!!
たまにはいいわね、文明の利器も!
ニャハハハハハハッ!!
たーのしーー!
アンゴラはナイフを加えて超高機動でバケモノの首をかっ捌く。
ロボは突きの要領で片っ端から刺し殺す。
ダブルキャットはナイフと爪の二重奏で相手を切り刻む。
武器を使って殺すことで趣向を変えてみた。
クロノもこれで漸く戦える。
秘技!
目を瞑って当てる!
とうとう巫山戯始めたのか、そんなことまでやるクロノ。
目を閉じて発泡すると、
ギャアーッ!?
たまたま復活していたどっかの鳥に直撃。
そのまま鳥は死んだ。
そしてバケモノに群がられて喰われて乙った。
絶技ッ!
乱れ咲きッ!!
無駄に格好つけて乱射。
ノリノリでぶっぱなす弾丸は敵にすべて直撃する。
いてぇッ!?
テメェ!!
さっきから俺に向かって撃つな!
いてーだろ!!
アウチッ!?
何か混ざっているが気にしない。
それはきっと幻聴だ残像だ。
にやぁ……
お前かいまの、って……
や、やめれ……
もうやらないんじゃねえのか!
殺らないわよ?
食べたりもしないし
でも……
いじめないとは、言ってないわよ?
ひぃいいいいーーー!!
隅っこまた悲劇が繰り替えられそうになっているが、それは別のお話。
取り敢えず、クロノがツッコミとして機能を停止させてしまった。
以上!!
不幸すぎるぅーー!