時は遡り……3月

佐島亮

あああ、やっぱりいもパラは最高だなあ

佐島亮

二次元の妹こそやはり至高

佐島亮

まさに、国宝! 国の宝!

佐島亮

ん……ライン……

佐島亮

ああ、生徒会長さんからか……

佐島亮

んー、この人のアイコン狐草子の雫ちゃんだなあ……やはりオタクの人だったか

佐島亮

にしても、わざわざ挨拶のラインをくれるなんて、律儀な人だなあ

佐島亮

一年間よろしくね……か

佐島亮

こちらこそよろしくお願いします

佐島亮

まあ僕は、迷惑かけない程度にサボるんですけどねー

世の中、加減が必要だ

適度に力を抜いたほうが、生きやすい

佐島亮

一年次は学級代表、二年次は生徒会役員……まあ、これくらいの肩書きがあれば親も満足かな

そこそこ頑張っているフリをしておけば、あとは何でも許される。

佐島亮

二次元こそ至高……

佐島亮

ならばさしずめ三次元は『ゲーム』ってところだろうか

ゲームに人生全振りするなんて、無駄だ

佐島亮

っていう思考がクズなことは知ってるけど

それくらいが、丁度いい。

佐島亮

おおっと! 必町予約しなきゃ……

佐島亮

ん……生徒会長さんから……?

佐島亮

なになに……『生徒会、大変な一年になると思うけど、一緒に頑張ろうね』

佐島亮

『あと、何かあったら先輩に相談してね!』

佐島亮

おお……頑張り屋さんだなあ……

佐島亮

雫ちゃんのアイコンで熱い台詞吐かないでください

佐島亮

返信早い……んーと、『私は……頼られたい……』

佐島亮

おっと、狐草子三巻の雫ちゃんの台詞だ。三点リーダーも完璧……

佐島亮

なかなかやりますね

佐島亮

『それは、褒め言葉ですか?』

佐島亮

お前がそう思った時点で褒め言葉だ

佐島亮

確か、原作ではこんな返しだったはず

佐島亮

えーっと、『佐島くんってこっち側の人間なんだね』

佐島亮

まあ表立っては言わないけど、言われて否定することでもないな

佐島亮

それがどうしました? オタクな生徒会長さん

佐島亮

『オタクって言うな! 私は二次元を愛しているだけだ!!』……か

佐島亮

はぁ

佐島亮

何言っているんですか……二次元こそ楽園……生きる価値

佐島亮

愛しているなんて気軽に言える存在ではありません

佐島亮

『重症だな!』

佐島亮

全く、失礼な

佐島亮

僕にとっては二次元こそが現実。
むしろ三次元なんてゲームに過ぎないです

佐島亮

……なんで僕、こんなこと打ってるんだ?

佐島亮

『何言ってんだ、三次元があるからこそ二次元があるんだろ。三次元を生きなきゃ二次元に失礼だ!』

佐島亮

この人自分のキャラ見失ってるな……

佐島亮

そんな言葉で僕が考えを改めるとでも?

佐島亮

んー……なんか……

佐島亮

…………

鈴石茜

私が改めさせてやる!!

佐島亮

…………

真面目な人だなあ……

同じ二次元オタでも、僕とは違う

佐島亮

生徒会長は言うことが違う……

佐島亮

ん……

佐島亮

『ごめん言い過ぎた。やっぱり私が佐島くんをどうこうしようなんて無理……だから

鈴石茜

だから自分で本気を出してほしいというか……その

鈴石茜

佐島くんにとって三次元はゲームだとしても……それはぬるゲーじゃなくてガチゲーだから!!

佐島亮

…………

佐島亮

まあ

本当は、分かってるんですけどね

佐島亮

じゃあ僕はそのガチゲーをあえて手を抜きつつクリアしましょう

鈴石茜

何故!?

佐島亮

その方がかっこいいからです

生徒会長さんは変った人だ

自分が本気を出させると断言したかと思いきや、いきなりお願いに変わるなんて……

佐島亮

ちょっと、頑張った方がいいかなあ……なんて思うじゃん……

多分僕は、この人には絶対敵わない

佐島亮

お願いされちゃ……仕方がない

ちょっとだけガチで、生きますか

佐島亮

嘘です。仕方がないから、ちょっとだけ頑張ってみますよ

鈴石茜

それはよかった!! よろしくね、佐島くん

佐島亮

よろしくです。鈴石先輩

さあて、どんな一年になるのやら……

佐島亮

というか、いつまで続くのやら

佐島亮

僕は飽き性だからなあー

そして、時は過ぎる……

鈴石茜

佐島くん?

佐島亮

あ……はい、なんでしょう?

鈴石茜

どうしたの? ぼーっとして

佐島亮

いや、人って何故生きているのかなあという哲学的なことを考えていました

鈴石茜

それ今考えること!?

佐島亮

そうです。大事なことです。ところで鈴石先輩は何故生きているのでしょうか

鈴石茜

えっ……

鈴石茜

えっと……

佐島亮

何だかんだで……

僕は未だに、三次元を割と本気でプレイしている

佐島亮

この人といると飽きないしなあ

鈴石茜

さ、佐島くんに本気で行事に取りくんでもらうため!!

佐島亮

失礼ですね。僕はいつだって本気ですよ

鈴石茜

嘘だっ

嘘じゃないっての。

半分くらい。

やる気がなさそうな佐島くんでも、ちゃんといろんなことを考えている。

だけど、それがしっかり鈴石さんに伝わるかどうかは……不安なところ。

二人の関係性はいかに……

続く

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