時は遡り……3月
時は遡り……3月
あああ、やっぱりいもパラは最高だなあ
二次元の妹こそやはり至高
まさに、国宝! 国の宝!
ん……ライン……
ああ、生徒会長さんからか……
んー、この人のアイコン狐草子の雫ちゃんだなあ……やはりオタクの人だったか
にしても、わざわざ挨拶のラインをくれるなんて、律儀な人だなあ
一年間よろしくね……か
こちらこそよろしくお願いします
まあ僕は、迷惑かけない程度にサボるんですけどねー
世の中、加減が必要だ
適度に力を抜いたほうが、生きやすい
一年次は学級代表、二年次は生徒会役員……まあ、これくらいの肩書きがあれば親も満足かな
そこそこ頑張っているフリをしておけば、あとは何でも許される。
二次元こそ至高……
ならばさしずめ三次元は『ゲーム』ってところだろうか
ゲームに人生全振りするなんて、無駄だ
っていう思考がクズなことは知ってるけど
それくらいが、丁度いい。
おおっと! 必町予約しなきゃ……
ん……生徒会長さんから……?
なになに……『生徒会、大変な一年になると思うけど、一緒に頑張ろうね』
『あと、何かあったら先輩に相談してね!』
おお……頑張り屋さんだなあ……
雫ちゃんのアイコンで熱い台詞吐かないでください
返信早い……んーと、『私は……頼られたい……』
おっと、狐草子三巻の雫ちゃんの台詞だ。三点リーダーも完璧……
なかなかやりますね
『それは、褒め言葉ですか?』
お前がそう思った時点で褒め言葉だ
確か、原作ではこんな返しだったはず
えーっと、『佐島くんってこっち側の人間なんだね』
まあ表立っては言わないけど、言われて否定することでもないな
それがどうしました? オタクな生徒会長さん
『オタクって言うな! 私は二次元を愛しているだけだ!!』……か
はぁ
何言っているんですか……二次元こそ楽園……生きる価値
愛しているなんて気軽に言える存在ではありません
『重症だな!』
全く、失礼な
僕にとっては二次元こそが現実。
むしろ三次元なんてゲームに過ぎないです
……なんで僕、こんなこと打ってるんだ?
『何言ってんだ、三次元があるからこそ二次元があるんだろ。三次元を生きなきゃ二次元に失礼だ!』
この人自分のキャラ見失ってるな……
そんな言葉で僕が考えを改めるとでも?
んー……なんか……
…………
私が改めさせてやる!!
…………
真面目な人だなあ……
同じ二次元オタでも、僕とは違う
生徒会長は言うことが違う……
ん……
『ごめん言い過ぎた。やっぱり私が佐島くんをどうこうしようなんて無理……だから
だから自分で本気を出してほしいというか……その
佐島くんにとって三次元はゲームだとしても……それはぬるゲーじゃなくてガチゲーだから!!
…………
まあ
本当は、分かってるんですけどね
じゃあ僕はそのガチゲーをあえて手を抜きつつクリアしましょう
何故!?
その方がかっこいいからです
生徒会長さんは変った人だ
自分が本気を出させると断言したかと思いきや、いきなりお願いに変わるなんて……
ちょっと、頑張った方がいいかなあ……なんて思うじゃん……
多分僕は、この人には絶対敵わない
お願いされちゃ……仕方がない
ちょっとだけガチで、生きますか
嘘です。仕方がないから、ちょっとだけ頑張ってみますよ
それはよかった!! よろしくね、佐島くん
よろしくです。鈴石先輩
さあて、どんな一年になるのやら……
というか、いつまで続くのやら
僕は飽き性だからなあー
そして、時は過ぎる……
佐島くん?
あ……はい、なんでしょう?
どうしたの? ぼーっとして
いや、人って何故生きているのかなあという哲学的なことを考えていました
それ今考えること!?
そうです。大事なことです。ところで鈴石先輩は何故生きているのでしょうか
えっ……
えっと……
何だかんだで……
僕は未だに、三次元を割と本気でプレイしている
この人といると飽きないしなあ
さ、佐島くんに本気で行事に取りくんでもらうため!!
失礼ですね。僕はいつだって本気ですよ
嘘だっ
嘘じゃないっての。
半分くらい。
やる気がなさそうな佐島くんでも、ちゃんといろんなことを考えている。
だけど、それがしっかり鈴石さんに伝わるかどうかは……不安なところ。
二人の関係性はいかに……
続く