転げ落ちた銀の後を紅夜が追いかけ、二人は地下にいた
あいたたた…
無事か!?
転げ落ちた銀の後を紅夜が追いかけ、二人は地下にいた
なんとか無事だけど…
一瞬死を覚悟したわ。ここどこ?
さっき銀が押した壁は回転式になっていて、その先にあった階段から地下に落ちたみたい
すごいカラクリしてたんだね。
でもなんで地下へ行くのにあんなカラクリを…?
さあ…
何か隠しておかないといけない理由でもあったんじゃないか?
隠しておかないといけない理由…ねぇ
真っ暗で何も見えないから何を隠したかったのかもわかんないけど
とりあえず電気だな
電気点ける所どこだろ?
あ、あった
紅夜は壁にあった電気のスイッチを見つけ、電気を点けた
…
なんだよ…これ…
電気を点けると、その部屋には血が付いた台や道具、薬品などが無造作に置かれており、
周りには何の生物のものかわからない四肢や内蔵が落ちていた
人間のものか…?
うえっ…
銀は口を押さえながら後ずさりをすると、後ろのなにかにぶつかった
ガシャンッ
だ、大丈夫か?!
…檻?
凄く縦に長いな…人が1人入れるくらい
人が1人…
こんなに縦長の檻が沢山…一体何が入ってたんだろう
よく見ると鎖が中にあるね。
鎖で繋がれてたのかな?
足枷とかも心なしか人間サイズ…ってさすがに考えすぎか。
お、横に薬品棚があるな
ほんとだ。
自分は薬品とか詳しくないからわかんないけど医療系のものかな?
…いや、なんだこれは。
全部見たことのない薬品名ばかりだ
えっ?
医師の紅夜が見たことのない薬品?
紅夜は棚にある薬品の瓶を1つ手に取り、原材料を見る
かすれていて所々読めないが、原材料を見る限りただの薬品ではなさそうだ。違法のものまで含んでいる所を見ると、国から隠れて何かをしていたんだろうな
国から隠れてって…まあここの部屋を見る限り納得はできるけど。
よほどの事がない限り環境省が黙ってる訳がなさそうだしな…
あんまり長居したくないね
そりゃそうだな。
できる限り早くここから出るためにも何か手がかりを探そう
はぁ~それにしても、トンネル抜けてからここまで一度も休憩してないし足がすごく痛いんだよね
そう言うと、銀はそのまま後ろに寄りかかった
確かに、ずっと走ったり歩いたりしてたもんな。
場所は悪いが少し休憩するか
普段運動しないからすぐ体力なくなるんだよ。
紅夜は見た感じ余裕そうに見えるけど疲れてないの?
俺はこう見えて割と運動してるからな。
まあゲームしてる時間の方が長いことは否めないんだけど
運動できる人が羨ましいよ。
自分なんて学校以外ゲームばっかだし
俺だって学生の頃に戻りたいし羨ましいけどな。
…というか、さっきから気になってたんだけど銀の横にあるこのボタンなんだ…?
ボタン?
紅夜は、銀の横にあった謎のボタンを押した
すると
ガシャンッ
えっ
ぎ、銀!!
銀が寄りかかっていた後ろの焼却炉扉が突然開き、下に落ちかける
うわああああああああ
っ!!!
パシッ
間一髪の所で紅夜が銀の腕を掴み、なんとか引き上げることができた
ひぃひぃ
ゼーハーゼーハー
死ぬかと思った…
地下への階段といい今といいよく落ちるな!!
後半は誰のせいだ誰の!!!
すまんすまん。
ボタンとかあるとつい…
ほんとに紅夜に殺されそうで怖いわ。
そもそも焼却炉稼動してるなんて…
おい、あんまり近づくなよ?また落ちるぞ
もう落ちるのは勘弁…
銀は急いで開いていた焼却炉扉を閉めた
何があるかわかんねえし、あんまりむやみにボタンとか押さないようにしろよ
その言葉そのまま返すわ!
二人は焼却炉を離れ、周りの探索を始める
…この血がついた台見れば見る程人間を固定してた台にしか見えないなぁ。
あと、周りに落ちてる道具を見る限り、人体解剖でもしてたのか?
…なんかそう言われるといろいろ辻褄が合って否定できないな
てことはこの下に落ちてる内臓らしきものって…人間のものか…?
や、やめてよ!!
正直、こんなこと知ったところで俺らがこの建物から出る手がかりにはならなさそうだしな
とにかくここから早く出る手がかりを探さなきゃね。
あと調べてないのはそこの本棚と…
奥の壁にある大きい水槽だけだね
本棚から調べてみるか
二人は近くにあった本棚を調べた
難しくて何書いてるのかわかんないな
…
さっきから真剣に読んでるけど、意味わかるの?
所々破れてたり、血で汚れてて見えにくいけどなんとか
おお、頼りになる。
何か手がかりとか見つかった?
手がかりとかではないんだけど、ここで行われてた事が大体わかった
ここで行われてた事…?
単刀直入に言うと、この建物は研究所だ。それも違法のな
研究所…動物関係の?
…キメラだ
キメラ!?
あのギリシア神話に出てくる?あれを現実で?どういう事?
そのギリシア神話に登場するキメラってのはライオンの頭、ヤギの体、蛇の尾を持つ生物だろ?
…まさか…
そのまさかだ。
2つ以上の遺伝子を人工的に合わせた生物体をつくる研究所だったんだよ、ここは
で、でもなんでまたキメラなんて…
それは…わからない。
だが、よくない事を考えていたのは確かだ
結局その研究とやらは最終的にどうなったんだろうね
ここの研究所を見る限り、移転したかやめたんじゃないか?
そうだといいんだけど…
え?
あ、いや何でもないよ。
ちょっと嫌な予感がしただけ
その嫌な予感が当たらなきゃいいんだけどな。
取り合えずここの本一通り見たけどここがキメラ研究所だったってこと以外わからなかったし、奥の水槽調べてみるか
そうだね…って読むの早!!!
本を棚に戻し本棚から離れ、奥にある大きな水槽の前に来た
おお…近くで見ると一段と大きいなこの水槽
水族館にある水槽みたいだね。
暗くてよくわからないけど、特に何もいないのかな?
実験台がある部屋に水槽って…
キメラ研究所ってくらいだし、魚か何かでもいたんだろうな。
人面魚とか?
なんでそこ人魚とかじゃなくて人面魚!?
人面魚にするぞ!?
なんで!?
ごめん俺自身でも何言ってるのかわかんなくなってきたわ…
疲れてるんじゃない?休んだ方がいいよ?
大丈夫大丈夫
そんな話をしていると、水槽の中で何かの影が動いた
何か…?一瞬見えなかった?
もしかして魚でもいたのかな…?
二人は水槽に近づき、中を覗き込んだ
と、その時
バンッ
ウワアアアアアアアアアアアア
ワッショイ!!!!!!!
突如水槽のガラスに謎の化け物が現れた
しかし、その化け物はすぐに姿を消した
あばばばばばば
ああ…あぁ…
突然の出来事で二人は腰を抜かし、その場で座り込んだ
なんだ…今まで生きてきてあんな生物見たことねぇぞ…
もしかしてキメラ…?
あんなキメラが現実にいてたまるかよ!!
もうこんな所、早く出よう
二人は水槽から離れ、本棚の近くまで移動した
もう調べられるとこねえな…早く出たいのに
さっきの化け物が水槽から出てきたらと思うと…
一刻も早くこの場から離れないとな…
そう言えば、何か少し風を感じないか?
本当に微かにだけど…確かに
風を感じる方向を見ると、壁に木の板が貼られており、少し隙間が見えた
もしかすると、ここから外に繋がっているかもしれない
でもどうやってこの木の板を外す…?
さっき手に入れたバールがあるし、これを使えば…
ちょっと試してみよう
紅夜はバールを木の板の隙間に引っ掛け、木の板を外した
すると、その先は上への階段になっていた
すげえ!
その代わり、バールが壊れて使いもんにならなくなったわ…
ここに置いてくか
バールがなくなるとちょっと心細くなるけど仕方ないね。
よし、先に進むとするか
うん…
血がついた薄暗い階段をゆっくりと登っていく
階段を上がるごとに段々冷たい空気を感じた
あれ?行き止まり?
ここまできて!?
だって上に鉄の板しかないし…
あ、もしかしてこれを押すのか?
紅夜がグッと上の鉄の板を押し上げると開き、外に繋がっていた
=4話=
終了