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いよいよ最後の戦いだな。
古き記憶を打ち破る時が来た。
今こそ過去の亡霊と決別し、新たなる未来を切り開くのだ。
なんですか? それ。
この人、以前このゲームをやっていた時に進めていたのがここまでなんス。
だから、前回のプレイをなぞる意味では最後の戦いってことッスね。
お前の訳わからん口調について聞いたんだと思うが。
ええ、まぁ、そうですね。
それはそれとして、2人は新規組ではないんですね。
そうだな。
俺もコイツも、サービス終了する前にプレイしてたよ。
その時からの付き合いなんですか?
いや、一緒にやり始めたのは今回からッス。
もしかしたら、前回も知らずの内、一緒にやってたかもしれないッスね。
そうだと面白いですね。
面白いかもしれんが、それは無いんじゃねーか。
お互い、レベルがかなり離れてたみたいだしな。
そうッスね。
ただ、会ったこと自体はありそうな気がするッスよ。
そうなのか?
だとしたらすまんな、何も覚えてなくて。
大丈夫ッス。あくまで気がするってだけで、僕も覚えてないッスから。
僕は初心者支援と称して色んな人に絡んでたッスから、その辺で会ってるかもしれないってだけッス。
なるほどな。
そういえば、そんな事言ってたか。
何より、もう4, 5年は前の話ッスから、正直ほとんど忘れちゃったッス。
俺も、よほど仲良かった相手しか覚えてないな。
け、結構ドライなんですね。
そんなもんじゃないッスか?
ネトゲの出会いなんてほとんど一期一会みたいなもんッス。
あながち間違いでも無いんだろうがな。
そうは言っても、また会いたい人は居るんスけどね。
へぇ……。
会えるといいですね。
同じゲームをやっていれば、いつかはまた会うことも有るだろ。多分な。
ところで、そろそろ着くぞ。
ああ、そうだそうだ。
こんなヤツだったよ。
……ここまで来ておいてなんなんスけど、このボスは倒し方がちょっと特殊なんスよ。
僕達はもう倒し方しってるんでいいんスけど、南さんにとってはネタバレになるッス。
そういうの平気ッスか?
あ、大丈夫です。
wiki読んで来たので。
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ゲーム内でwikiと言うと、大抵は攻略Wikiのことを差す。
どのゲームにも、ほぼ必ず1つは存在するもので、ゲームの基本情報や攻略情報はここに纏められる。公式のお知らせを転載している場合もある。
当然、ネタバレについては考慮されていない。何も知らない状態でゲームをプレイしたいのであれば見る必要はないが、そうでなければ、軽くでも目を通しておいたほうが無難。
あ、それなら問題無いッスね。
それじゃあ早速。
既に倒し方を知っているため、手際よく触手を切り落としていく。あっと言う間に、ボスは本体を残すのみになってしまった。
なんスか? その攻撃。
え、知らないんですか?
ひよぽんさんに頂いたコーンスープを飲んだら、使えるようにんったんですけど。
いや、コーンスープじゃねぇよアレ。
なんでコーンスープでスキルが習得されるんスか。
分類は料理ですけど、扱いはスキル書だったみたいですね。
wikiにもありましたよ。
知らなかった……。
知らずに作ってしまう僕は、やはり天才なんじゃ……?
そうかい。
そんなことより、口開いたぞ。
あ、じゃあ攻撃しますね。
おいおい、ダメージおかしくないか?
適正レベルあってるよな?
このスキルすごく強いんですよ。
HP割合減少のデメリットがついてる分、戦士のスキルとしては威力が突出してます。
凄いなそのスキル。
お前も自分用に作って、覚えておいたらいいんじゃないか?
え? いや、アレを口にするのは正直遠慮したいッス。
……。
……とにかく、倒しちゃいましょう。
ほんと強いな、そのスキル。
適正レベルだったのに、あっさり倒しちまったぞ。
結構連発したせいで、瀕死になっちゃいましたけどね。
僕も瀕死ッス……。
よく耐えられたなお前。
なんとか……。
防御状態も無視とは恐れいったッス。
パーティの状態はボロボロだが、これにて今回のメインシナリオは終了だ。お疲れ。
お疲れッス。
お疲れ様です。
まだ時間あるな。
この後適当に依頼でもしようと思うんだが、2人はどうする?
あ、私も行きます。
僕も行くッス。
ただ、そのまえにパーティメンバーをもう1人探さないッスか?
南が居れば余裕だろ。
ここから先、一応難易度上がるッスから。
ボス戦は今のままでいいかもしれないッスけど、雑魚戦は3人じゃ面倒ッス。
聖職者が居れば、南さんのスキルも安定するんでいい感じッスね。
お前がそこまで言うなら、そうするか。
それじゃ、酒場に行こう。
良さそうな人は居るッスか?
そうだなぁ。
仲間を探して、酒場を見渡す。
最初の街の酒場よりも人が多く、その分強い人も多い。
しかし、そんな人々を余所に、真っ先に目に止まったプレイヤーが居た。
彼は1人、人混みから離れた壁際に佇んでいる。
なぁ、アイツ誘ってもいいか?
え? 誰ッスか?
ちょっと、聖職者じゃないッスよ。
ダメか?
うーん……ん?
あの武器……、彼も結構やりこんでそうッスね。
あれぐらいの装備を揃えられる人が居るなら問題無さそうッスね。
僕は構わないッス。
私も構いませんよ。
しかし戦士4とは、中々攻めたパーティですね。
ありがとよ。
黒い鎧を身につけたその戦士は、背中に大剣を背負っている。
それは透き通るような青色をしていた。
よう。今、暇か?
おしまい