4月29日

祝日で学校は休みだけど、部活だった。
レギュラーメンバーはこの雨の中試合に行き、あぶれた部員は校内で筋トレだ。

犬伊

校内だとサッカーボールも触れないし・・・
筋肉だけムキムキになってくなぁ

犬伊

そういえばにーのとどこの食べ放題行くか決めてなかった
考えとかなきゃ・・・

犬伊

うわっ

犬伊

いてて・・・

にーののことを考えていて、床の一部が濡れていたことに気づかなかった俺は滑って転び、足を捻ってしまった。
仕方なく保健室に行くことになった。

犬伊

すみません、足ひねったんで湿布ください

白勢先生

・・・

犬伊

あれ・・・先生?

保健室に入ると白衣の先生はいたが、どうやら寝ているらしい。
起こすほどのことでもないから、俺は棚から適当に湿布を取り出す。

白勢先生

んん・・・

白勢先生

ん?!
おい、君何してる

犬伊

え?
痛っ

先生は急に起き上がると、俺の腕を掴んだ。
そのせいでよろけて、踏み込んで捻った足が痛い。

白勢先生

ん・・・?
怪我してるのか

犬伊

あ、はい
先生寝てたみたいなんで、湿布探してて

白勢先生

す、すまない
雨の音が心地よくて

犬伊

ああ、確かに
ここ静かですし、雨の音がいいBGMになりますよね

白勢先生

そうだろ?

白勢先生

あー、んん
湿布してあげるから、そこに座って

ソファを指し示されたので、俺はそこに座った。
先生は棚から湿布を取り出し、俺の前に膝まずく。

白勢先生

少し腫れているね
湿布するより先に氷で冷やしたほうがいいな

犬伊

ああ、今日筋トレだけですぐ戻るんで、湿布もらえれば平気ですよ

白勢先生

いいわけないだろう
ほら、靴下脱いで

少し強引に靴下を脱がされ、氷嚢を腫れたところにあてがわれる。

白勢先生

これでよし
瞬くそのままでいなさい

先生はそう言って、事務作業を始めた。
俺はやることもないから、窓の外を眺める。

窓の外は雨が降り続いていて、その音と先生の筆記用具を動かす音しかしない。
どこか切り取られた空間で、俺は眠くなっていた。

犬伊

・・・

白勢先生

犬伊くん

犬伊

んあ・・・

白勢先生

ふふ、眠っていたようだね

犬伊

あはは、そうですね
先生が寝ちゃった気持ち、わかります

白勢先生

そ、そのことはみんなには内緒だぞ

犬伊

はい、わかりました

慌てた様子で言う先生はなんだか可笑しかった。

それから湿布を貼ってもらい、ガーゼで丁寧に巻かれて少し大げさなくらいだった。

白勢先生

今日明日は運動を控えたほうがいいかもね

犬伊

わかりました

白勢先生

せっかくのGWなのに、残念だったね

犬伊

まあ、考え事してた俺の自業自得ですよ
そうだ、先生どこかスイーツの食べ放題できる場所とか知りません?

白勢先生

ん?
急にどうして

犬伊

今度友達と食べに行くつもりなんですけど、俺そういうところよく知らないから

白勢先生

そうか・・・
そういえば知り合いのレストランで、GW中食べ放題をするって言ってたな

先生はそういうと、紙に何かを書き出す。

白勢先生

店の名前を書いたから、調べて行ってみたらどうだ?

犬伊

ありがとうございます

先生の紹介で、にーのと食べに行くお店が見つかったかも。
これぞ怪我の功名ってやつかな?

つづく

お店決めたからにーのに打診してみよー!

白勢先生

ま、また見てもいいんだからね

pagetop