早川実

・・・

羽島桜

・・・

信一と別れて、二人で歩く帰り道…気まずい。

私は今、どんな顔をして歩けばいいのかもわからない。

羽島桜

・・・

この子もこの子で、気まずいのか、目がさっきから訳のわからない方向へ行っている…。

てか、何でろくに話したこともない人と二人で歩いて帰らないといけないの!!

・・・

あの喧嘩はノーカンね!

だって、喧嘩なんて話したことがない人ともできるものでしょ?
…違う? まーいいけど。

…信一の事、好きなのかな?

まだ、転校してきてあんまり日は経ってないけど、なんだか仲良いし。

聞いてみようかな…。

早川実

あ、あのさ…

羽島桜

な、なんでしょう?

うわ~、凄く緊張する。

でも、ここで聞かなかったら、もう聞く機会無いだろうし。

頑張れ、私!!

早川実

し、信一の事…どう思ってるの…?

羽島桜

ふぇ! ど、どうしたんですか!? 急に!

早川実

き、気になったから、聞いてみただけ!

羽島桜

どうって…ふ、普通ですが?

早川実

う、嘘でしょ! 本当はす、す、す、好きなんじゃないの?

羽島桜

ふぇ!

「好き」という言葉に、強く反応を示した。

羽島桜

ど、どうして知ってるんですか?

早川実

え?

羽島桜

どうして私が、信一くんの事が好きだって事を知ってるんですか!?

早川実

み、見ればわかるわよ! あんなにデレデレしてたら

羽島桜

そうですか…ども、早川さんも信一さんの事、好きですよね?

早川実

な、なんでそうなるのよ! そんなわけないでしょ!

羽島桜

そうですか? 私はてっきり好きなのかと思いました

どうして、こんなに慌ててるんだろう…私。

自分に正直になれないなんて、絶対ない。

正直に言おう。

早川実

べ、別に好きじゃないし

・・・

何言ってるの、私~!!

羽島桜

本当ですか?

早川実

ほ、本当だって!

ええい! この際、もうやけよ!

早川実

な、なんなら、私が告白のお手伝いをしてあげようか?

羽島桜

本当ですか? ありがとうございます!

早川実

い、いいのよ。別に

…完全に取り返しのつかない方向に進んで行っている。

羽島桜

あの…

早川実

な、何?

羽島桜

私、早川さんの事を実さんって呼んでいいですか?

早川実

別にいいけど…

羽島桜

やった! ありがとうございます! 実さん

早川実

あなたが名前で呼ぶなら…私も桜って呼んでいいよね?

羽島桜

はい、全然かまいませんよ

早川実

じゃあ、そーする

なんか、仲良くなったのかな?

羽島桜

私はここを曲がるのでこれで

早川実

うん、バイバイ

羽島桜

さようなら

笑顔で手を振る桜を、優しい笑顔で送り出した。

はぁ~、今日はスッゴく疲れた。

明日からどうしよう。

とりあえず、今更「嘘でした」とは言えないから手伝わないと。

・・・

何から教えればいいのかな?

まずは好きなもの?

それとも趣味?

迷うな~。

でも、私が協力することによって、二人がくっついたら…私…どうなるんだろう…。

早川実

桜の事、刺したりしてー

…一人で、なんだか虚しくなってきた。

重い気持ちの中、暗い住宅地を一人で歩いて帰るのだった。

第6話 あの日した約束の名前を私達はまだ‥永遠に知らない! 

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