【レスボス島 鉱山跡地】
【レスボス島 鉱山跡地】
グフフ! ようやく来たな待ちわびたぜ!
そこには片耳に包帯を巻いたゴリラのようなデカイ図体をした兵士がいた。
やれやれ…
昨日は不覚をとったが、この怪力無双のバニシング様が今度こそ貴様を捻り潰してやる!
ルシファーの身の丈程ある斧を振り回してバニシングは叫んだ。
懲りない奴だ。
ルシファーは剣を抜いた。
昨日てめぇに千切られた耳の怨み! 100倍にして返してやる!
バニシングは自慢の斧を近くにあった岩にぶつけ粉々にする。
どうだ! この破壊力! 俺様の怪力に自慢の斧を合わせたら敵なぞおら…
雑魚に構ってる時間はない。
ルシファーは一瞬でバニシングの懐まで飛んで斧を真っ二つに切り裂いた。
ぬあ!?
あまりにも一瞬すぎて腰を抜かすバニシング。そこでようやく格の違いに気づいた。ルシファーは腰を抜かしているバニシングの横顔に剣を添える。
さて、昨日と同じ光景になったな。
がっ、あががががが…
ルシファーが鉱山に来たのは敵の司令官を仕留めるためだった。しかし、ここにいるのは雑魚一匹だけ。
昨日来たときにあった帝国軍の野営地は跡形もなくなくなっていた。
お前一人か? 他の奴等はどうした?
お、おおお俺一人です!
すでに何かを運び出した形跡もあり、すでにここでの用件を済ましたのだろう。ならばこの鉱山はそれほど重要な拠点でもない。軍にとってここはもう用済みらしい。
一足違いで本隊は引き上げたようだな。
なら仕方がない。さっさと本隊を追うとしよう。
ルシファーはバニシングの顔を掴んで尋問を始める。
一度しか言わないからその片っぽしかない耳をかっぽじってよく聞け。本隊はどこに行った?
知らねえ! 知らねえんだ!
ルシファーは大男の残った片耳を容赦なく削ぎ落とした。
ぎゃあああああ!
顔のパーツ全て削ぎ落としてやろうか?
う、嘘じゃねえんだ!昨日女を拉致るのをしくじったから、俺はあの御方から信頼を失った!だから何も聞かされていねえ!拉致を邪魔したお前の首をあの方に差し出すまで俺は軍に戻れねえんだ!
必死に弁明するゴリラ野郎。
どうやら嘘はついてないようだな。
だから命だけは…
駄目だ
ひ、ひぇぇぇ!
ルシファーは大男の首を跳ね飛ばした。
無駄な殺生を嫌うルシファーであったが、今のルシファーは冷酷な殺人鬼に代わっていた。
仕方ない、ベルゼブブに乗って上空から本隊を探すか。
ん?
ルシファーは鉱山から出ると、一羽のカラスがルシファーの元に飛んできた。それは先程イシスに託したカラスだった。ルシファーはカラスを腕に乗せた。
イシスからか…何事だ?
カラスの口からイシスの言伝が話された。
ごめんルシファー!レイズさんがいなくなっちゃったの! 少し目を離した隙に、どうしよう…
チッ、あれほど目を離すなと言っておいたのに!
ルシファーはベルゼブブを呼び出すとすぐに跨がった。
ベルゼブブ急いでくれ!
わかりました我が主よ。少し飛ばします。しっかり掴まっていてください!
ベルゼブブは急上昇し空を飛んだ。ルシファーは深刻な表情を浮かべていた。
レイズの精神は不安定だ。何をするかわからない。
もしもビアンの仇討ちをしに行ったとしたら相手が悪すぎる。戦闘経験のない彼女には無謀だ。
ルシファーは急いで町に戻った。