4月17日

日曜日、今日はにーの・和咲・井崎を誘って映画館に映画を見に来た。

和咲

わあ、やってるのアニメばっかりだね

井崎

あとは海外ヒーロー物に、漫画原作の実写化だ
どうしようか?

犬伊

にーのはなんか見たいのある?

新乃

・・・

にーのに声をかけると、隣の売店で売っている物が気になるようだった。
チョコレートアイスのジュースがあるから、十中八九それに夢中なんだろう。

犬伊

じゃあこれにしようか?
漫画原作で謎解き系らしいけど

和咲

いいよ、僕見たことないから楽しみ

井崎

おれは原作少し読んだくらいかな

和咲

じゃあネタバレ禁止だよ

井崎

気をつけるよ

観る映画を決めて、売店で飲み物も買い、中に入る。
映画は公開からしばらく経ってるからか、半分くらいが空席だった。

犬伊

すぐ始まるかな?

井崎

そうっぽいね

和咲

あ、新乃もうジュース飲んでる
すぐ飲み終わっちゃいそうだね

新乃

・・・

横に並んで、和咲・井崎・俺・にーのの順で座る。
にーのは座るやいなやチョコレートアイスジュースを飲み始めって、恍惚の表情だった。

時間になると明かりが暗くなり、館内でのマナー映像が流れる。

映画は漫画原作の実写化だ。
そういう作品は批評されることが多いが、原作を見たことがない俺はキャストへの不満もなく、めまぐるしい展開に見入っていた。

ふと、隣のにーのが気になって視線をやると、ジュースのストローを咥えてぼーっとスクリーンを眺めている。

犬伊

にーのも楽しんでるみたい

新乃

・・・

犬伊

・・・

ジュースを飲み終えてしまっていたにーのは、喉が渇いていたのかもしれない。
不意に唇を舌で舐めた。
その仕草に、胸がドキドキと早く動いた。

暗い館内、スクリーンからの光で妖しく照らされたにーのの横顔。
いつもと違う雰囲気だからだろうか、再び唇を舐めるにーのが、いやらしく見えて仕方なくなる。

犬伊

にーの、俺の飲む?

新乃

・・・

犬伊

飲んでいいよ

新乃

・・・

小声で話しかけ、俺の飲み物を受け取ると小さく頷き、ストローに口をつける。
にーのの飲んでいたのと同じだから、にーのは嬉しそうに飲んだ。

犬伊

あ、間接キス・・・

犬伊

なんてな・・・

それから後も、にーののことが気になって結局映画の話なんか頭に入ってこなかったのだった。

つづく

生徒会選挙運動期間が始まる。
ド派手な頭のあいつが生徒会長候補に絡まれて・・・。

犬伊

また見てね

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