02.涙の闇

ー幼稚園の頃ー

霧雨 涙

…。

私はいつも、夜になると勝手に家を脱け出して公園に来ていた。
その理由は…。

ピエロ

…また、来たんだね。

霧雨 涙

うん!

…゛ピエロ゛がいるからだ。
夜にしか現れず、手品を見せてくれる。

…家やお稽古に縛られている私の唯一の楽しみだった。

ピエロ

…今日も、とっておきのマジックショーを見せてあげるね。

霧雨 涙

わーい。

ピエロ

そーれっ♪

霧雨 涙

わあ~!やっぱり綺麗!

ピエロはいつも、マジックショーを行う時は、この魔法のような水風を出すのだ。
どういう仕組みかはわからないが、この水風はとても輝いていて綺麗なのだ。

しばらくして、水風の中からくまさんが出てきた。

霧雨 涙

わー!今日は何を

霧雨 涙

…゛殺す゛の?

…そう、このくまさんは…私の大好きな色を見せてくれる。

ピエロ

…今日の獲物はこれだよ。

霧雨 涙

…鳥さん?

上半身が鳥で、下半身が何かの生き物のようだ。

ピエロ

…さっ、くまさんやっちゃって♪

…目の前はあっという間に゛赤色゛で染まった。
…もう、鳥さんの姿はない。

霧雨 涙

すごーい!鳥さんいなくなった代わりに公園の砂が、私の大好きな色で染まった!

ピエロ

…それは良かったね。

樋爪 豊

…おい、涙っ!!
またこんな時間に脱け出して…。

 …反対の方向から、豊が走ってきた。
 どうして私が脱け出したことわかるのだろう…。

霧雨 涙

…お家よりも公園が良いんだもの。
それに…。

…振り返ると、ピエロはいなくなっていた。

樋爪 豊

…涙。

豊は私の頭を撫でた。

樋爪 豊

…ほら、泣かない。
ー…に笑われちゃうよ?

霧雨 涙

…。

…ピエロのことやくまさんのことは、豊かにも誰にも言っていない。

樋爪 豊

…涙、まだ…゛あの事件゛のこと…。

霧雨 涙

…事件?
あー…あの事件か。

私のお姉ちゃんの…事件。

ー続く

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