【ブシリス北方 生け贄の祭壇】

生け贄を捧げよ

村一番の若い女の血を神に捧げよ

真夜中に行われる儀式。
そこには祭壇と、数人の人間がいた。


 

ブシリス北方にある山岳に位置するこの村は生け贄の儀式を古くからの風習にしていた。
今宵も生贄の儀式を村総出で執り行ってる真っ最中だ。


二人組のフードを被った男たちが、女を祭壇に寝かせた。この女性が神への生け贄である。

生贄とは、作物の不作による飢饉や、疫病などが起こると、それは神が怒っているとされていた。


それで神の怒りを鎮めるために、村の中から若い女を生贄として神に捧げ、神に許してもらって苦しみから救われると大半の大昔の人間はそう信じて込んでいた。


生け贄の儀式は古くからの人間の悪しき風習だった。



二人組のフードを被った男たちが、女を祭壇に寝かせた。この女性が神への生け贄である。


その様子を祭壇のある崖の上から眺めている者たちがいた。

ベルゼブブ

ルシファー様、生け贄の儀式が始まったようです

 生け贄の祭壇の見える崖の上にルシファーとベルゼブブがいた。

ルシファー=サタン

くだらんな。生け贄など無意味だというのに

 そもそも天使や神が人間のために何かをするわけはないのだ。この生け贄にされた若い女も、このまま天使に強姦されて、証拠隠滅のため聖教会の魔女狩りにあい、殺されるのだ。


今回のルシファー達が狙うのは勿論天使だ。
女を連れ去ろうと天使が現れたら襲いかかる手筈だった。こういう下衆なことを好んでするのは下級天使と大体相場は決まっている。雑魚とはいえ天使は見逃せない。この世全ての天使は皆殺しにしなければならないからだ。


村人は撤収し若い女一人が祭壇に残された。
しばらく様子を見ていると、曇り雲が割れて一筋の光が照らされる。

ルシファー=サタン

どうやら来たな

やがて空から白き羽根を生やした天使が舞い降りた。

ベルゼブブ

行きますか?

ルシファー=サタン

いや、女と接触するまで待つ。感づかれて逃げられるわけにはいかん。隙を出すまで待機だ。

ルシファーはダーインスレイブを抜いて不意討ちをしようと天使の隙を伺った。

 
そして、天使は生贄の台座にいる女と対面した。

下級天使

さぁ、迷える子羊よ。怖がる必要はありません。私の元に来るのです

 天使は言った。生け贄の女は無反応だ。

下級天使

なにをしている? 私がこいと言ったんだ早くこい

 強い口調になる男の天使。すると生け贄の女は恐る恐る天使のとこまで歩いた。

下級天使

グッフッフ、それでよい。さぁ顔を見せておくれ

 天使は生け贄の顔に被せられた布袋を取った。

???

汚い手で触るな下衆野郎

 女は天使の胸に飛び込んでいきなり天使にナイフを突き刺した。

下級天使

ぐっ!?

天使の胸には深々とナイフが突き刺さってたのだ。
だが人間より丈夫な身体を持つ天使にとっては致命傷にもならなかった。

下級天使

くっくっく、この私を殺す気だったのか? この程度で私が死ぬとでも? だが威勢のいい女は嫌いではない。今度はお前に俺のモノをぶっ刺し・・・

???

走れ雷鳴、かの敵を撃ち貫け!

 ナイフの柄には鎖がつなげられており、
鎖を伝って走った電流が天使に直撃した。

下級天使

ぐぎゃあああああ!

その様子を崖の上から見ていたベルゼブブは予想外のことが起きて驚く。

ベルゼブブ

主よ、アレは!?

ルシファー=サタン

クックック、どうやら面白いことになってきたな。

第四章 生贄の村の魔女

下級天使

ぐがががが!ままま待て!

???

待たない

下級天使

ぐぎゃあああああ!

天使は電撃を受け続けた。女の電撃は一切の容赦がなく殺意が籠っていた。

下級天使

ぐがががががが!!!
こ、このアマが調子に乗るなよ!

下級天使

せ、清浄なる聖なる炎よ、かの・・・

???

走れ雷鳴、かの敵を撃ち貫け!

下級天使

ぐぎゃあああああ!

 天使は女にむかい呪文を唱えようとするが、それより先に女は電撃を走らせる。

下級天使

がはっ!!!

強烈な電撃を流され続けて天使は身体の自由が利かなくなり膝をつくと、女は電撃を流すのを止める。

???

なんだ、天使って言っても案外たいしたことないわね。

 感電している天使は女を睨みつけた。

下級天使

ぐっ・・・き、貴様!一体何者だ!?
何故人間風情が魔法を使える!!!

???

ごめんそれ無理。生憎私はクズに名乗る名は持ち合わせてないから。

???

それにあんたここで今死ぬんだし、名乗っても無駄じゃない?

下級天使

な、舐めやがってこの小娘が!!!

天使は逆上して女に襲いかかろうとする。

???

電撃

下級天使

ぐぎゃあああああ!

???

だから無駄だっての

下級天使

な・・・何故人間風情が魔法を、まさか、お前も天使なのか!?

???

あんたら天使と一緒にされるのはマジ不快だわ

見たところ女に天使の象徴である羽がない。

 魔法を使えるのは天使か、その天使の血を引いた混血種のみ。そして天使はこの女が天使のオーラを纏っていないことに気づいた。

下級天使

もしや貴様混血・・・・・・

下級天使

ぐぎゃあああああ!

???

それ言われんの一番嫌いなんだよね

下級天使

まっ!待て!話し合おう!!!

???

話?

下級天使

そうだ、たとえ同族でないにせよお前は半分我々の血の繋がりがある。俺が上に掛けあってお前を天使族として迎えてやる。人間共の上位種だぞ。悪い話ではあるまい。

???

興味ない

下級天使

なに!?

???

生憎私は血液至上主義じゃないから。

???

それに・・・

下級天使

ぐぎゃあああああ!

???

自分は特別だからって女をレ○プしようとするクズ共は。気持ち悪いし虫唾が走るんだよね。

天使を殺す気で電撃を浴びせ続ける女

下級天使

こ、これ以上この女の電撃をくらい続けるのは不味い!この刺さってるナイフさえ抜けば

天使は慌てて胸に刺さったナイフを引き抜こうとする。
だが・・・

下級天使

くそが! どうなってやがる!このナイフ全然抜けない!

???

それも無理。この鎖は特別な呪術をかけてあるから。あんた程度じゃ絶対抜けない

下級天使

チクショウ! ぶっ殺してやる!

 電撃を食らいながらも天使は、無理矢理火の魔法を詠唱して火の玉を女に放った。


迫り来る火の玉に女は唱えた。

???

清流なる水よ、壁となりて降り注ぐ焔から我が身を守れ

しかし、女の前に水の壁が現れて天使の放った火の玉を打ち消した。

???

甘甘ッ

下級天使

ば、馬鹿な・・・混血ごときが俺の火を打ち消しただと・・・・・・

 それを見た天使は悔しがっていると、自分の身体が動かなくなってきたことに気づく。

下級天使

な、なんだ…急に身体が

???

ようやく気づいた? 遅遅ッ

下級天使

それに、さ、寒い!?

???

抵抗されるとマジウザイからちょっと動くのやめようか

 先程まで電撃を放っていた鎖が、今度は冷気に代わって鎖を走らせていた。


冷気が天使を包みこんで身体を徐々に凍らせていく。

下級天使

ガッ…コノ・・・ヤメ・・・・

時すでに遅く。
すでに天使の全身が霜で覆われ、血液は凝固し皮膚は凍結していた。

下級天使

あが・・・・からだが・・・・こお・・・る

下級天使

・・・・・・・・・・・・・・・

天使の身体は完全に凍りついた。
天使は凍ったまま動けず苦悶の表情を浮かべていた。

女は手に持っていた鎖を勢いよく引っ張りナイフを凍った天使から引き抜くと、天使の胸から亀裂が入りヒビが拡がる。

???

アディオス!

天使の凍った身体はバラバラに崩れ去った。

生贄の村の魔女   第一節 生贄の村

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