【王族の遺跡内部】
【王族の遺跡内部】
おいおい、こいつは・・・驚いた
なんですかここ・・・
以前来たときとは様子がガラリと変わっていた。
王族の墓があった場所には見たことない機械仕掛けの装置が置かれてたりと、至るところで古くからある石像も破壊され、様変わりしていた。
なんですかこのガラスに入った物は・・・
ヒト一人分入れるくらいのガラスの筒の中に緑色の液体が入っている。
ミディアンはそれをまじまじ見ると、その中には脳や、内臓、解剖された人間が入っていた。
うっぷ…
ミディアンはその光景に気持ち悪くなる。
うわぁ・・・グロッ・・・
その時、人の気配を感じたペオルは、ミディアンに言った。
静かに、誰かいる隠れろ
ペオルとミディアンは急いで培養カプセルの隙間に隠れる。
しばらくして二人組の人間がやってきた。
一人は特務隊の兵士と、もう一人は白衣を着て眼鏡をかけた知的そうな顔立ちをした男だ。
彼らは歩きながら話をしていた。
被験体006の状態はどうかね?
ハッ! 現在独房の中に収容しております
人間が疫病と呼んでる・・・えーとあれは確か・・・
黒死病ですか?
そう、それです。あの細菌兵器の抗体を持った珍しい実験サンプルです。決して目を離して逃げられることないように。もしものときは…わかってますね?
特務隊に対してあの白衣の眼鏡男はずいぶん偉そうな口調だ。
それもそのはず、あの男…人間ではなかった。
そう、あれは…
あの男、背中に羽が生えてる…まさか、天使様?
そのまさかみたいだな。実在してるって聞いてはいたが、俺も初めて見た。
眼鏡をかけた知的そうな男は天使だった。白衣の天使と兵士はペオル達に気づかず、そのままどこかへ行ってしまった。
完全に気配が消えたことを確認すると二人はカプセルの陰からでた。
あいつ、今黒死病を細菌兵器とか言ってなかったか?
ええ確かにあの天使がいってましたね。
こりゃあいよいよもってキナ臭くなってきたな。今俺らの国に蔓延してる疫病の正体がわかるかもしれねぇ
まさか隊長、黒死病が人為的に行われたものだと?
まだわからんが、ここに長居するのは良くなさそうだ。
なんだか嫌な予感がしやがる。
ズラかりますか!
いや、まだだ
ヤバそうなここの雰囲気にミディアンは正直ビビっていて早く逃げ出したかったが、ペオルはヤバそうな場所だからこそ、捕らわれているであろうヨブのことが気掛かりだった。
あのガキを助けてやんねえとな。ここは思いっきりクロだ。あのガキがどんなことされるかわかったもんじゃねえ連れ出す。
それはまずいですよ! ここはかなりヤバそうです。我々だけでは手に余ります。一旦本部に戻り上層部の応援を呼びましょう!
無駄だと思うぜ。多分上層部も一枚噛んでる。
特務隊・・・ですか
特務隊の所属は聖教会だ。それが動いてるとなると、これは聖教会の指示、しかもかなり上からの指示だろう。俺ら末端が上層部に報告したところで揉み消され、それどころか俺らの命も狙われるだろう。
どうやらガキを追ってきたら、とんでもない陰謀に巻き込まれちまったな・・・・・・
正直ここはやばい。だが俺はここでやることがある。
これ以上俺の我儘でこいつを巻き込めないしな。
お前だけでも先に戻れ。これは俺の責任だ。今ならまだ戻れる。
隊長・・・全く貴方って人は
ミディアンはため息をつきながら小さく笑った。
いつも面倒くさがり屋で、お金にだらしなくて、ズボラで、酒癖悪くて、女のけつばかり追っかけて、不潔で、時々変な臭いするし、みんなから馬鹿にされて、隊長の癖に頼りなくて
お前それ言い過ぎだから! 心にズバズバきたよ!
でも、本当はお節介焼きでめんどくさいと言いながら面倒見がすごくいい、自分の尊敬する上官です。
なんか照れ臭いな。やめれ
な、なんだよ、いきなり
昔、戦争で孤児になった自分を拾ってくれたのは隊長でした。あんな子供放っておけばいいものを今では士官にまで取り立ててくれた、本当馬鹿がつくほどのお人好しですね
うるせえやい
さて、今回もお人好しで子供を助けに行きますか
ペオルは思わず笑ってしまった。ほんと気持ちがいいくらいのバカヤロウに育ちやがって
かーーーめんどくせえ! 憎まれ口は相変わらずのクソガキだなてめぇは!
ははは、久し振りにその呼び名で言われましたよ。そうです。自分はいつまで経ってもクソガキですから
互いに長い付き合いだ。
だからペオルとミディアンは互いの考えもよく知っていた。こうなりゃ一蓮托生でいくか。
わかったよ。俺の負けだ。一緒にガキを助けるぞ。
もとよりそのつもりでしたけど?
とりあえず二手に別れるか。そっちのほうが探せるだろう。
そうですね。あと自分はこの遺跡で行われていることを少し調査したいと思います。何かわかるかもしれません。
そうか、死ぬなよ
隊長こそ
二人は一旦別れペオルはヨブを探しにいった。
慎重に遺跡内を進んでいくペオル。
以前、ここで働いていたのが役に立ち。
いりくんだ道にも迷うことはなく、独房となる場所となれば何処なのか大方予想もついていた。
たどり着いた場所は王族の霊安室だった。
中には案の定ヨブがいた。
ようガキンチョ!
おっさん、どうしてここに!?
下がってろ
この錠の外しかたはわかる。
よく暇潰しに遊んでたからな。
ペオルは手慣れた様子で鉄格子を開けた。
よう、クソガキまた泣いてなかったか?
泣いてねぇよ!!!
馬鹿!大声出すな!見つかんだろ!
こんなとこまできたのかよ
まぁな、おかげで骨が折れたぜ
なんで、俺なんかのためにこんな危険犯して・・・
騎士になりたいんだろ?
えっ・・・
隊長の俺自らがヘッドハンティングしたんだ。今更逃げられると思うなよ。
ヨブはペオルの言葉に涙が溢れそうになった。
正直、いきなり知らない集団に連れてこられて心細かった。だが目の前にいる騎士は俺を助けに来てくれた。それがヨブには堪らなく嬉しかった。
話は後だ。さっさとここをズラかるぞ
あ、ああ
ペオルはヨブを連れて来た道を戻った。
たいちょーう!
来た道を戻る途中、別れたはずのミディアンとちょうど合流した。
なんだよ生きてたのかよ
生きてますよそりゃあもうピンピンに
まぁ、そう簡単にくたばる玉じゃねえな
その子がヨブ君ですか?
ああ、なんとか見つけてきた
この人は?
うちの口うるさい副官だよ。
初めましてヨブ君、私が口うるさい副官のミディアン!よろしくね
爽やかな微笑みを見せるミディアンに、ヨブは見惚れた。
かっこいい・・・まさに騎士の理想を体現した人だ
それに比べて・・・
ヨブは隣のペオルをチラ見する。
なんだよガキンチョ
フッ・・・
何その鼻笑いは!お前なんか失礼なこと思っただろ!!!
ははは、やっぱこのおじさん騎士っぽくないよね!
このクソガキ共・・・
ところでさっきからお前が持ってる紙はなんだ?
ミディアンは手に資料を持っていた。
おそらくここで手に入れたのだろう。
ミディアンはそれを思い出して興奮気味に話した。
そうです!とんでもないことがわかったんですよ!
わかったわかった。その話はここから逃げた後でゆっくり聞いてや・・・あぶねぇ!!!
その時、角を曲がろうとしたら短刀を持った人物にいきなり襲われた。
な、なんだ!?
ギリギリで避けると、その人物は黒いフルフェイスを被っていた。
・・・・・・・・・
チッ、特務隊か!
ヨブ君は下がってて!
は、はい!!!
ペオルとミディアンはすかさず剣を抜いて構える。
・・・・・・・・・
特務部隊の兵士が素早い動きで縦横無尽に駆け回り翻弄する。
正面からではなく背後に回るように動いてミディアンに斬りかかる。
は、はやッ・・・!?
あぶね!
間一髪のとこでペオルが間に入る。
ペオルは剣を振り払うが、それをバックステップで避ける特務隊。二人がかりなのに怯むことなく襲いかかってくる。
・・・・・・・・・
おりゃぁぁぁぁ!!!
てやぁぁぁぁ!!!
こいつちょこまかと!?
二人で斬りかかるも、紙一重で躱される。
・・・・・・・・・
ぐふっ!?
避けた時にペオルは脇腹に蹴りを入れられた。
なんつー重い蹴りだ。体術も一流だ。
腹を押さえているとミディアンがすかさず、援護に入る。
しかし、それも難なく避けられた。
大丈夫ですか隊長!
わりい油断した
・・・・・・・・・
特務隊は余裕な態度で二人を見ている。
舐めやがって
ペオルは飛びかかる勢いで特務隊に迫った。
身構える特務隊。
その時、特務隊の兵士の態勢が崩れた。
ヨブが特務隊の足にしがみついたのだ。
!?
こんくそ!
元々ヨブを子供と思い戦闘対象外と見ていたのが油断だった。
でかしたヨブ!
・・・・・・・
そのままペオルは斬る態勢に入ると、
慌てた特務隊はマスク越しからヨブ目掛けて針を吹いた。
イテッ!?
針はヨブの手に刺さり、足から手を離した。しかし反応が遅れた特務隊の兵士はペオルに斬り抜かれた。
グハ!
特務隊は小さく呻くと絶命した。
ペオルとミディアンは息を切らせる。
はぁ…はぁ…はぁ…
ぜぇぜぇ…なんなんですか、こいつら
はぁ…はぁ…これが特務部隊だ。要人暗殺に長けた人殺し専門の殺人集団だ
特務隊の死体を見ながら、このレベルの手練れがまだまだ他にもいると思うとゾッとした。
隊長見てくださいコレ…
ミディアンに言われて見ると、特務隊が倒れたときに散らばったのだろう。無数の針が落ちていた。
ん? これがどうかしたか?
ペオルは針に触れようと手を伸ばした瞬間、ミディアンは慌ててペオルの裾を引っ張った。
さ、触っちゃ駄目です! 毒ですよ!
へっ?
ミディアンに言われて針をよく見ると薄い煙が上がっていた。
空気中に触れると気化するみたいですね。おそらく身体の中の血液と混ざる毒でしょう。多分、一刺しで死に至る猛毒でしょうね。
あ、あぶねぇ…迂闊に触って指でも切ってたら死んでたとこだった。ん? 待てよ…
ふと思い出して慌ててヨブの方に振り向く。
あっ、そうだ!? ヨブ無事か!
え? 俺は無事だけど
先程、手を針で刺されたはずのヨブは不思議そうにしていた。
お、お前…どこか苦しくないのか?
全然!
ヨブは元気そうに答えた。まるで毒なんてないように。
なんでだ?
ペオルは首をかしげていると、ミディアンは考え込んでから一つの仮定をあげた。
もしかしたら例の!あの天使が言ってた抗体のことじゃないですか!きっとヨブ君には生まれもった特別な抗体があって毒が効かない体質なんですよ!
特別な抗体? この小汚えガキが?
いって! だから噛みつくな!?
がるるるるる!
おそらく……いや、今はそんなことより早くここから出ましょう。話の続きは走りながらします。
ペオルは手をヒリヒリさせながらミディアンに賛成した。
そうだな。またこんなヤベェ奴等と戦いたくねえ、追っ手が来る前に逃げんぞ。
ペオルはヨブを連れて、ミディアンと共に遺跡から脱出した。
被験体が逃げただと?
申し訳ありません、すぐに捜索部隊を編成し…
僕は言いましたよね? もしものときは…って
そう言った瞬間、天使は何かを唱えた。
すると特務部隊長が突然苦しみだし、その身体が膨れ上がり・・・
ぐっ・・・ぐげげげげgsjf、ml!?
バシャッ!と音を立てて破裂した。他の特務隊員達は仲間のひとりが目の前で肉塊になり怯える。
ひい!?
さてと…なにボサッとしてるんです? 早く連れ戻しに行きなさい。貴方もこうなりたいですか?
特務部隊は急いで脱走者を追った。
天使はつまんなそうにしながらそれを眺めていた。
ソノ祈リハ、キット神ゼウス二届クデアロウ
ソシテ、ベルフェゴール編ヨウヤク折リ返シ地点ダゼ
ヤッパ一日更新ジャナクテ、長編ハ纏メテ更新スルベキダロウカ?
ダーインスレイブさんの楽なほうでいいのではないでしょうか?
長編を分けて更新、次がどうなるのかワクワクしながら待てるのでオレは好きですよ(*´罒`*)
ソウ言ッテクレルト助カル。ベルフェゴール編ノ次ノ新章ガ、長編11話二ナッテシマッタカラ迷ッテイタw