2人は新しい仲間、ジークを引き連れ、再び大木の根に戻ってきた。
 状況は、最初にここへ訪れた時の状態に戻っている。

レグルス

頑丈な扉だな。

ヤクルト

あれ破られたら困りますけどね。
多分、シナリオ破綻しますよ。

ジーク

雰囲気を壊す発言はやめたまえ……。

レグルス

悪い悪い。
それじゃ、準備はいいか?
俺とヤクルトが前で敵を引き付けるから、ジークさんは援護を頼むぜ。

ジーク

任せておけ。
全て焼き払ってみせよう。

ヤクルト

僕達は焼かないでくださいね。
行きますよッ!

 3人が戦闘状態に入る。
 すぐに前衛2人が飛び出し、スキルで敵の注意を引いた。敵は全員、2人を中心に釘付け状態だ。

ジーク

貰うぞ!

 ジークの前方に展開された魔法陣から、真っ赤な炎の線が放たれる。炎は前に出ている2人を掠めるように通りぬけ、一帯の影は跡形もなく消え去った。

レグルス

流石だぜ。やっぱり本職は違うな。

ヤクルト

巻き込まれたら、僕達もただじゃ済みませんね。

ジーク

そんなヘマはしない。

ジーク

次だ!

 次に放たれたのは、巨大な火球だ。
 火球は影に直撃し、付近の影もまとめて消し飛ばした。

レグルス

俺達も負けてらんねーな。

ヤクルト

そうですね。
僕達も削っていきましょう。

 魔法使いの殲滅力は、戦士のそれとは比べ物にならない。あれだけ苦戦した影達が、みるみるうちに減っていった。

ヤクルト

今度はいけそうですよ。

レグルス

ジークさんのおかげだな、ほとんど倒しちまったよ。

ジーク

お互い様だ。
君達が敵を引き付けてくれなければ、私は戦うことができないのだからな。

ヤクルト

そう言ってもらえると有り難いですね。

ヤクルト

これで、終わりです!

 ヤクルトの一撃が、最後の影を叩き斬った。

 これで敵は全滅……のはずが、どうも様子がおかしい。

ジーク

……まだ終わりでは無いようだな。

 倒したはずの影が膨れ上がり、全く別の形を取る。

 先程とは打って変わり、プレイヤーの2倍はある巨大な影となった。

レグルス

こいつがボスみたいだな。

ヤクルト

流石に、あの影達だけで終わりということはありませんでしたか。

ヤクルト

僕が引き付けます。
このまま挟撃しましょう。

 先にヤクルトが一撃を加え、影の注意を引く。
 ジークは正面の延長線上に影が来るように位置を取り、影の背後にレグルスが回りこむ。

レグルス

良い配置だな。
このまま一気に削りとるぞ!

ジーク

な……?

 影のターゲットが、ヤクルトからジークに切り替わる。
 前衛2人を無視し、影がジークに向かって進み始めた。

ヤクルト

しまった……こっちに来い!

ヤクルト

あ、あれ?

 ヤクルトはいつもの様に、スキルで敵を引き付けようとするが、影のターゲットが切り替わる気配はない。

 慌てて後を追うが、2人よりも先に、影がジークの目の前に迫る。

レグルス

こいつ……このスキルに抵抗があるな。

ジーク

くそ……魔法で身を……。

 ジークが魔法を唱える前に、影が攻撃を行う。

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