蝿の王ベルゼブブは、姿を変えて巨大な蝿に変貌した。大きさは馬二頭分ぐらいある。
では、いきます・・・・
蝿の王ベルゼブブは、姿を変えて巨大な蝿に変貌した。大きさは馬二頭分ぐらいある。
ルシファーはベルゼブブに跨がると、
ベルゼブブは羽をはばたかせ、
ゆっくりと上昇した。
これであの億劫な山脈を越えられる。
ルシファー様、落ちないようしっかり掴まっていてください。
わかった。
ルシファーはしっかりとベルゼブブの首根を掴む。
ギャハハハハ! ソリャア無理ダゼww ルシファーハ毎回堕チル!
これまで天界から落とされ、一昨日は崖から落ちて
もはや、トラウマレベルで落ちることに運がないルシファー。
五月蝿い剣だ、黙らないとお前をうっかり落としてしまうかもしれないぞ
フフッ、では主よ行きますよ!
ベルゼブブはルシファーを乗せ大空を飛んだ。
山脈を越え、川を越え、
次の目的地を目指す。
ベルゼブブよ、北東の方角に飛んでくれ。
わかりました我が主よ
ルシファーの第六感が告げていた。
人の嘆き、負の感情を察知することのできるルシファーは、神の眷属である天使を探しに北東を目指した。
第三章 天使の火と天使の血
【教会総本山の街 ヨハネスブルク】
北東の街ヨハネスブルクには聖教会の総本山があり教皇が街を治めていた。
街の中心街にある広場には人だかりで溢れかえっていた。ルシファーは深くフードを被りその人混みの中に紛れていた。
・・・・・・・・・・
広場は柵が囲っており、おびたたしい数の聖教会騎士団が柵の周りを囲っていた。
教皇様、準備ができました。
うむ
柵の中には10名ほどの人間が十字架に張り付けられていた。若い女から子供、老婆まで全て人間の女性だった。女達はむせび泣いている。
たすけて・・・・
わ、私は魔女なんかじゃないんです!お願い助けて!
ひっく・・・・ひっく・・・・おかあさん・・・
やれ
兵士の号令で、松明を持った兵士は張りつけにされた女達に火をつけていった。
きゃああああああ!!!
火炙りにされ断末魔をあげる女達
教皇はその燃え盛る姿を見ながら満足そうに笑っていた。
そうこれは魔女狩りである。
魔女狩りとは、
聖教会が主催する公開処刑である。
主にこれにかけられるのは魔女と認定された女。
教会に魔女の嫌疑をかけられた者は、
容赦なく火あぶりの刑にされる。
胸くそ悪いことしやがる
ルシファーは毒づいた。
教会が魔女を捕らえて民衆の前で処刑するのが古くからのしきたりだった。
しかし、ルシファーはこの魔女狩りの本当の真実を知っている。
張りつけにされた彼女らは、
過去に天使に強姦された。
または天使の子を孕まされた。
天使と人間の間に産まれた混血児のいずれかの者たちだ。
天使が人間の女を襲っては強姦し孕ませることなんかは日常茶飯だ。しかし人との交わりを禁じている天界では、それは罪とされている。
だから天使たちは自分らが強姦したことを天界から隠蔽するため、天使は聖教会の人間を使い、レイプされた被害者を魔女に仕立てあげ口封じのため殺すという下衆な行為をやっていた。
つまりこの魔女狩りは天使の証拠隠滅のために行われている虐殺だった。
この魔女狩りも裏で教皇に指示を出している天使がいるに違いない。
主から魔女狩りの真実を聞いたときは驚きました。今までそれが当たり前の世の中だと信じ込まされていた自分がお恥ずかしい。
ルシファーの頭の中でベルゼブブが語りかける。
ベルゼブブは今、霊魂となってルシファーの身体の中にいる。
ベルゼブブの姿は人外だ。外にいると目立ってしまう。
だから日中、または必要がないときはルシファーの身体の中にいるようにと命令してある。
それとルシファーと契約化にある眷属は、ルシファーが必要あるときに好きに呼び寄せることができる。
無理もない。この事実は一部の教会の人間しか知らないことだ。
このような悪道は許されるものではありませんな。
勿論だ。無残に殺された者たちの安らぎのため、この件は奴等に必ずツケを払わせる。
では主よ!
ああ、今夜教皇の寝所に忍び込む。そして教皇とそれを裏で操っている天使を殺す。
わかりました。では今夜…
ルシファーは教皇暗殺のために夜を待った。
【ヨハネスブルク大聖堂】
教皇の寝所がある大聖堂の近くを、
ルシファーは物陰から隠れながら様子を伺っていた。
教会の本拠地である大聖堂は警備も厳重で、
24時間門兵がいる。
やはり聖教会の現トップである教皇だと、警備がかなり厳重だな。
そうはいっても所詮は人間。
ルシファーなら力ずくで余裕で突破できる。
ルシファー!ルシファー!アイツラ皆殺二シロ!俺二奴等ノ血ヲ飲マセロ!!!
全員相手してるときりがない。
無駄な殺生は避けていく
ハア!? フザケンナ糞ガ! コノ前ノ混血児モオ預ケデ、今日モカヨ!
その代わり教皇と天使の血はたらふく飲まさせてやる。それまで我慢しろ
ルシファーは正面の門からの進入は避けて、
ひとけのない方に回り、大聖堂を囲む塀の壁の前までくる。
・・・・・結構高いな
見上げると大聖堂を囲む塀の壁は高さ7m近くある。
ルシファーは黒い片翼を拡げ跳躍した。
ルシファーは、塀の壁をなんなく飛び越え敷地内に侵入した。
中も結構いるな
大聖堂内部にもかなりの衛兵が控えていた。
これを見つからず教皇のもとに行くには中々骨が折れる。それに教皇の居場所も知らない。
ルシファーはどう行こうか思案していると、
むこうから人の気配を感じて近くの草むらに隠れる。
しばらくすると、
二人組の衛兵がやってきた。
あーあ、そえにしても教皇の警備なんて必要あるか? 今日も平和なのに
しかたねえさ。司教がレイヴンに殺されてからあの爺さん怯えちゃってるんだから。
警備の衛兵らしき二人はパイプを吸いながら話している。どうやらサボってるようだった。
あいつら確か昼間いた・・・・
草陰からみていたルシファーは彼らが女たちに火をつけて回っていた騎士だと気づく。
そういやぁ、さっき教皇んとこにいつものように女のガキを送ってきたんだけどさ。毎度毎度思うよ。あの教皇も好きだよな~孤児にイタズラするのがさ
毎晩毎晩身寄りのないガキを俺らに拐わせるのも勘弁してほしいぜ。探すのも捕まえるのも手間がかかるしよ
せっかく俺らが苦労して捕まえたガキをあの教皇はいつも壊すんだよ。なんか捕まえてきた苦労が損した気分になるわ
あれで教皇だもんな。聖職者というより性食者だよ。ありゃあ
ははっ、言えてらぁ
ひでえのは自分がイタズラしたガキを魔女に仕立て殺すんだもんな。ちゃっかり自分の証拠隠滅もしてんだもん
我が主よ
どうしたベルゼブブ?
教皇の居場所と、誰にも見つかることなく教皇の元までいける案が浮かびました。
ベルゼブブはその案をルシファーに告げる。
なるほど、それは面白い。それでいこう
ハッ・・・・
話をしている兵士の背後から剣を携えて忍び寄る。
実は俺も教皇に渡す前にガキを犯したことあるぜ!
はははマジかよ、お前サイテーだなWWW
ああ、それはサイテーだな
ハッ!? な、何者だ!?
衛兵が構える隙も与えずルシファーは即座に斬り伏せた。一人の衛兵の首が飛んだ。
ひい!?
目の前で一瞬に起きたことに腰を抜かして驚く衛兵に、ルシファーは聞いた。
教皇の場所はどこだ?
い、一番上の階にいます!
そうか
どうか命だけは!
駄目だ。
ルシファーは素手で衛兵の頭を掴み首を捻った。
首の骨が折れて衛兵は死んだ。
オイルシファー、無駄ナ殺生ハシナインジャナカッタカ?
無駄じゃない殺生ならいい。この衛兵の服を頂いて衛兵のふりをすれば、この警備をうまく誤魔化せるだろう
コ、コイツ・・・・・・・
ルシファーはそう言うと、人目のないところに衛兵二人の死体を運び、首の骨を折った血のついてないほうの衛兵の服を脱がせ、その服を身につける。
さて、変態教皇様の面を拝みに行くとしよう
ルシファーは教皇のいる最上階を目指した。