記録ファイル -No.1-
1993年 私は罪を犯した事により、某収容所[削除済み]へと送られた。
どうやらそこは研究所も備わっているらしく、収容されていたのは死刑囚だけでは無かったようだ。
今日も刑務所の中でこきを使わされる。そう思いながら牢獄生活を過ごしていた。
今日の仕事内容を確認する。
これから、貴様らにはある隔離された生物の部屋を掃除して貰う。
ただし、注意点が1つだけある。
貴様らのうち、2人以上はその生物を視界に捉えてなくてはいけない。
つまり、全員同時に瞬きをしてはいけないということだ。
その間に、1人ずつ交互に掃除をしろ。
難しい話じゃない。
分かったな?
(え?どういうことだ?)
...おい、何かの実験なのか?
もっと詳しく説明してくれよ。
ぜ、全員が同じタイミングで視線を外したらどうなるんですか?
黙れ、とくにかく貴様ら3人で合図を使うなりしてコンタクトを取りつつ目標を眺めならがら清掃をしろ。
以上で説明は終わりだ。開けろ。
ハッ!では、ゲートを開きます。
シェルターのような扉が徐々に開き、真っ白な部屋が少しずつ見えてきた。
この厳重なセキュリティ、凄く嫌な予感がするぜ…
…
皆さん、合図の方法を考えました。
片腕の指を親指から順に一本ずつ折っていき、最後の小指を折る瞬間に瞬きをすることにしましょう。
全員がそのタイミングをずらせば良いって訳だな。賛成だ。
お、おう…了解だ…
ゲート完全に開き切り3人は中へと入った。
...そこにいた"生物"とは、頭部の大きい人型の彫刻のような物が部屋の隅で壁に両手を付いていた。
生物…なのかな?
な…なんか気味が悪いな…
その生物の顔面はペンキのような物でグチャグチャに塗られており、その周りの床には赤色や茶色の液体が散々としていた。
じゃあ、掃除を始めましょう…
全員、先程決めた作戦を順調にこなし始めた。
...数十分経った頃だろうか、一向に終了の合図などなく死刑囚達に苛立ちが見え始めた。
…あのさぁ、これって俺らが必死にバカやってるのをあいつらモニターで見て楽しんでるんじゃねえの?
...確かに、あの物体は動く気配すらないしもはや生きているのかすら分かりませんもんね。
俺もそんな気がしてきたぞ…
くだらねえ!やめだやめだ!
死刑囚全員がが目視を外し一人が背を向けた瞬間、その死刑囚が床へ倒れこんだ。
あ…ああ…!
その生物は倒れ込んだ死刑囚の真後ろにいた。
どうやら首を折られたらしく倒れこんだ収容者の首は酷く捻じ曲がっていた。
おい!まじでやべえってこれ!
落ち着いて下さい!
自分たち2人だけで続けるんです!
という音と共に一瞬だけ辺り一面が闇に包まれた後、施設全体が薄暗くなった。
どうやら一時的に停電したらしい
眩んだ目が元に戻った時には、もう1人の死刑囚も倒れ込んでいた。
あ…ああ…
停電の影響で施設の緊急システムが誤作動し、シェルターが少しだけ上がっていた。
まずい、逃げないと…殺される。
そう思った彼は、薄暗いが辛うじて見える生物から目を離さずシェルターの外へと向かった。
隙間を抜けると吹き抜けの通路にいる監視役が無線機に向かって必死にこう言っていた。
緊急事態発生!173が逃走!
繰り返す、173が逃走!
173は既に彼の頭上の通路に移動し監視員の首を折っていた。
あ…ああ…!
逃げなきゃ…早く逃げなきゃ…!
無我夢中で走っている内に、通路の奥の部屋へとたどり着いた。
ドアを閉めて、その部屋を見回す。
どうやら倉庫らしく入口以外に扉は無かった。
い、行き止まりだ…クソッそんな…
引き返そうとドアのノブを握ろうとした彼は奇妙な音に気付いた。
ゴリ...ゴリゴリ...
大きな石が地面を引きずるような音だった。
徐々にそれが扉のほうへと近づいてくる。
ゴリゴリ...
ゴリゴリ...
…
最後の停電が起きた。
SCP-173 The Sculpture - The Original(彫刻 - オリジナル)
http://ja.scp-wiki.net/scp-173
Object Class : Euclid
元ネタ執筆者(日本語訳) : Moto42 様
キャラ素材 : SCP-811Hatena 様
(MMD Newcomer) SCP-173 (Dl at Right)
原作 : 無題 2004
※尚、このストーリーは二次創作であり、原作のコンセプトとは全く関係ありません。