何その質問。
おおー、すごい人だね
ふむ、これははぐれてしまう可能性が高いですね
はぐれる確率はそう、１００パーセント！
随分な自信ですね
はい！ はぐれ者のアスナと呼ばれるくらいですから！
百歩譲って意味が全然違うことは許すけど、そこ自信持つところじゃない！
あ、そこ許せちゃうんです？
ツッコミの口が足りなかった
全く、駄目ですねえ
事あるごとに人を駄目人間設定にするのやめろ！
あれ！？ 違ったんですか？
…………っ
ツッコミって難しい
ふっ
竜弥！ 意味不明な笑みを浮かべるのはやめようか！
え……
やめようか！
茜は、俺のこと嫌い？
どうしてそうなる！ 嫌いじゃないよ
それは……よかった
竜弥の考えていることがよく分からないよ！？
…………
東海先輩って、鈴石先輩のこと、好きなんですか？
え？
え
何その質問。
どうなんです？
…………
佐島くんそれ、どんな気持ちで聞いているの？
てか、竜弥は本当に何を考えているの！？
ふっ
！？
何その意味深な笑み！！
興味ない
ああ、はい！ そうですか！
はい、見事なオチでしたー！！！
全く、どんな話の振り方だよ……
てか……
その質問をした意味は何？
もし竜弥が肯定したらどうするつもりだったの？
相変わらず、佐島くんの考えが読めない
はあ
どうしたんです？ 溜息なんてついて
いや、大体原因佐島くんだから！
嫌だなあ、人畜無害な僕を犯人に仕立て上げないでください
僕の株が下がります
元から株価崩落してるよ！？
酷いですねえ
これでも、一部の界隈からは評価が高いんですよ？
ほう。その界隈とは？
…………
待ってください。今設定を練るんで。
そこは前もって設定用意しよう！？
てか、設定なのね！ 設定なんだね！？
もう、そうカリカリしないでくださいよ
鈴石先輩だって『設定』上でしか友達いないじゃないですか
このぼっちめ。
だからいい加減人をぼっちキャラに仕立て上げるのやめよう！？
ええー、事実ですよ
何を根拠に！？
あれ……
どうしました？
あの二人は……？
伊納さんと東海先輩ですか……？
確かに、姿が見えませんね
どこいったんだろう……
早速、作戦を開始したのかアスナちゃん
って早速佐島くんと二人っきりってこと！？
ラインします？
あー……
どうせまた人ごみではぐれそうだし、花火を見る時間になったらまた待ち合わせすればいいんじゃないかな
確かにそうですね
あの二人なら問題ないでしょうし
うん……
そ、それで……
私たちはどうしようか
え？ 僕の好きなチョコバナナ食べに行くんじゃないんですか？
あ、ああ、そうだった
しっかりとコーティングされたチョコの下に隠れる絶妙な柔らかさのバナナが最高の一品
現代の屋台における宝石箱、それがチョコバナナです
よ、よく分からないけど食レポできるじゃないか
てきとーなこと言うくらいならいくらだってできます
ああ、はい。そうですか
「てきとーなこと」のラインがいつも分からなくて翻弄されるんだよなあ
お、ありましたよ
ほんとだ
鈴石先輩は好きな色とかあります？
んー……青かな
じゃ、買ってきますね
え？ あ……
やられた
お、奢られてしまう……
ただいま帰りました
お、お帰り。三百円だよね？
いいですよ、別に
たかが三百円を請求するほど懐の小さな男と思われては困ります
まあ、そう来るよな
次、なんか買う時は私が出すからね
では、お言葉に甘えましょう
うん
さて、待ちに待ったチョコバナナですよ～
よかったね～
ほんと、大好きなんですよ
…………
笑顔が眩しい！！
眩しすぎる！！
目が逸らせない。なんだこの感覚は
鈴石先輩？ 食べないと溶けますよ？
あ、ああ、うん。勿論食べるよ
なんていうか……かっこいいって言えばいいのか、可愛いって言えばいいのか分からなくて……
そう、『萌え』って言葉がよく似合う！
結局、行きつく先は『萌え』なんだな！！
『萌え』の意外な汎用性！！
ん～、おいしいです
くっそ～。おいしいんだけど、それより……それよりも……
あ……
でさー、彼がね？
それ、もう聞いた
あれ？ そうだっけ……
知り合い発見！
に、逃げなきゃ……
さ、佐島くんこっち！
え？ どうしたんです？ 急に
いいから！
あれ？ 茜……？
…………っ
私は逃げた。
だって、男の子と二人で一緒にいるところを見られたら、どんな反応をされるのか……まあ、なんとなく分かっちゃうし。
でも、一目散に逃げたものだから、背後なんて確認していなくて。
あ………
気が付けば、一人になっていた
や、やっちゃったー……
さて、どうしよう……
続く！
