鈴石茜

うん……よく晴れたお祭り日和って感じだね

伊納アスナ

でも暑いです

鈴石茜

口に出すともっと暑く感じるじゃないかー

伊納アスナ

それにしても。

伊納アスナ

集合時間をアスナだけ早めるとはどういうおつもりなのです?

鈴石茜

あー……ちょっと、聞きたいことがあって

伊納アスナ

なんですか? それはアスナにも解答可能なことですか? 厭らしいご質問でしたらお断りです

伊納アスナ

厭らしいご質問はお断りです

鈴石茜

何故二回言った!?

伊納アスナ

大事なことなので

鈴石茜

アスナちゃんこの前……佐島くんとアイス食べに行ったんだって?

伊納アスナ

ああ、32アイスクリームの期間限定の奴の時ですね。行きました!

鈴石茜

ふ、二人で……?

伊納アスナ

え……違いますけど?

鈴石茜

え?

伊納アスナ

もしかして生徒会長殿、嫉妬ですか?

伊納アスナ

恋する乙女の嫉妬って奴ですかぁ~?

鈴石茜

べ、別にそういうわじゃ……

伊納アスナ

私と佐島殿と佐島殿のお友達と三人で行ったんです

伊納アスナ

実はアスナ、佐島殿のお友達の大ファンでして……

伊納アスナ

むしろ佐島殿と佐島殿のお友達が仲睦まじくしているところを見るのが大好きでして

鈴石茜

すっごくどうでもいいわ!!

伊納アスナ

えー? 結構重要なことですよ

鈴石茜

興味ない

伊納アスナ

それは残念です。
男子同士の戯れほど甘美なものはないですよ~っ

鈴石茜

あ、でも「あーん」ってやったっていうのは?

伊納アスナ

それはまあ佐島殿のアイスを一口いただきたかったのと……

伊納アスナ

ついでにそのノリを利用して男子2人の熱い「あーん」を見ようと思って……

伊納アスナ

勿論、成功しました!

鈴石茜

…………

鈴石茜

しょうもない理由だった!!

鈴石茜

そんなことならちゃんと聞けばよかった

伊納アスナ

何をです?

鈴石茜

いや、佐島くんに、アスナちゃんと二人で行ったのかどうかって……

伊納アスナ

もしかしてもし本当にそうだったら、アスナは生徒会長殿に嬲り殺されていました?

鈴石茜

そんなことするか!

鈴石茜

でも、アスナちゃんの行動力は羨ましいよ

伊納アスナ

生徒会長殿だって一緒にご夕食を食べに行かれたのでしょう?

鈴石茜

そうだけど……

鈴石茜

別に特になんの進展も……

鈴石茜

あったりなかったり……

伊納アスナ

おおっと! そこを詳しく!!

鈴石茜

最初に服買に行って選んでもらって……カラオケでぐだぐだして……ご飯食べて……本屋行って……

鈴石茜

帰りに家まで送ってもらった

伊納アスナ

青春じゃないですか!!

伊納アスナ

これはもう脈あり決定ですね

鈴石茜

いやでも向こうはやっぱ二次元一択だし

伊納アスナ

二次元と現実は違いますよ

伊納アスナ

佐島殿もそれを混同させるほど馬鹿じゃないですよ!!

鈴石茜

そ、そうかなあ……

伊納アスナ

はい、例え佐島殿が馬鹿だったとしても、二次元のキャラは現実にはやってこれません

伊納アスナ

例え佐島殿が馬鹿だったとしても。

鈴石茜

アスナちゃんは同じことを二度言うのがブームなのかな!?

伊納アスナ

重要なことなので。

鈴石茜

まあ……うまくいってるに越したことはないんだけど……

伊納アスナ

そうですよ

伊納アスナ

それに、今回はアスナが組んだ素敵なデートプランがあるのですから

鈴石茜

で、デートプラン……?

伊納アスナ

はい!

伊納アスナ

といっても祭りの人ごみの中アスナと東海殿が二人してはぐれ、生徒会長殿と佐島殿を二人っきりにさせようっていうありがちな作戦なのですが

鈴石茜

うん、三流ゲームにありがち

伊納アスナ

そんなこと言ったら三流ゲームに失礼ですよ、生徒会長殿

鈴石茜

そこまで言うか……

鈴石茜

そろそろ五時だね……

伊納アスナ

女の子を待たせるとはけしからん奴らですね

鈴石茜

まあ、私たちが早く来すぎただけだし……

東海竜弥

……いた

伊納アスナ

おおっ 東海殿!

東海竜弥

……亮は?

鈴石茜

安定の遅刻ってとこかな

伊納アスナ

けしからん奴ですね

鈴石茜

まあまあ……

鈴石茜

ラインでもしようかな……

あ……どうも

佐島亮

みなさん早いんですね

鈴石茜

いや佐島くんが遅いんでしょ

佐島亮

ひどいですねえ

佐島亮

三十秒前についたじゃないですか

鈴石茜

ま、まあ時間を守ったことに関しては良しとしようじゃない……

佐島亮

で、どうするんです?

伊納アスナ

ひとまず、花火の時間まで屋台を周りましょう!

佐島亮

はーい

伊納アスナ

生徒会長殿、チャンスですよ

鈴石茜

そ、そう言われましても……

伊納アスナ

佐島殿は何か食べたいものとかあります?

佐島亮

僕ですか?

佐島亮

んー……チョコバナナですかね

鈴石茜

よし、じゃあそこに行こう

佐島亮

え……何で僕に合わせるんですか?

鈴石茜

いいからいいからっ

こうして、私たちの夏祭りが始まった。

まだ、始まったばかりだ。

まだ、本気を出す時じゃない。

鈴石茜

で、でも今日中に本気を出さなければいけないってことですかね……?

夏祭り怖い!!

続く

鈴石茜

祝・お気に入りユーザー79人達成

佐島亮

ありがとうございます

伊納アスナ

お二人とも、もっと嬉しそうに言ってくださいよ。どうしてそんな真顔なんですか……?

鈴石茜

いや……なんていうか……どうもこの話の人気をあるキャラに取られちゃっているらしくてね?

佐島亮

らしいですね

伊納アスナ

ほう……それはけしからん奴がいるものですねえ

鈴石茜

ほんとだよ、アスナちゃん

佐島亮

サブキャラのくせに出しゃばりすぎです伊納さん

伊納アスナ

え……

伊納アスナ

あ、アスナが人気なんですか!?

佐島亮

そうです

伊納アスナ

なんだ。ならもっと早く言ってくださいよぉ!
みなさん、今後もアスナをよろしくお願いいたします!!

鈴石茜

くっ……そうやってすぐ図に乗る……

東海竜弥

ふっ

東海竜弥

ちなみに……二番目は俺……らしい

鈴石茜

まずい……主人公格が置いていかれる……

佐島亮

まあこれが二次元厨の宿命ですよ

佐島亮

まあ僕は真人間なんですけど

佐島亮

鈴石先輩とは違うんで

鈴石茜

なっ

佐島亮

鈴石先輩とは違うんで~

鈴石茜

煩いこの妹オタク!!

佐島亮

わー、オタクの人がなんか言ってる~
こわ~い

鈴石茜

う、うるさ……

茶番・強制終了

伊納アスナ

今後もアスナを……じゃなかった、そろ時をよろしくお願いいたしますっ

まだ本気を出す時じゃない!

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