とある夢に入った時のこと。その夢の悪夢は凶暴で、私一人では抑えきれなかった。

眠井 朝華

(どうしよう、このままじゃ負ける!)

 焦りは隙を生む。遂に力負けし、私は悪夢に吹き飛ばされた。その瞬間を狙い悪夢が攻撃をしかけてくる。

チーシャ

朝華!

 私の名前を呼ぶ声。同時に体が突き飛ばされた。
 突き飛ばされた衝撃で地面を転げまわる。痛みを感じつつもなんとか立ち上がると、そこにあったのは、

眠井 朝華

チーシャ!

 悪夢の攻撃により傷ついたチーシャが横たわっていた。
 すぐさまチーシャの元に駆け寄る。

眠井 朝華

チーシャ、どうして?

チーシャ

……の中でも

 チーシャが必死に言葉をつむごうとする。

チーシャ

たとえ夢の中でも、君を傷つけたくなかったから。君を巻き込んだ側の僕が言うのも、おかしな話だけど

 チーシャの体が透き通っていく。

眠井 朝華

嫌だ、嫌だよチーシャ!

チーシャ

さよならだ、朝華

 そのままチーシャの体が完全に透明になり、四散する。

眠井 朝華

チーシャ……

 その瞬間、私の中で何かのスイッチが入った。

 私の中の怒りが、悲しみがオーラとなり体からあふれ出す。
 さきほどまで暴れていた悪夢が、ウソのように怯えていた。
 今の私はただの眠井朝華ではない。

眠井 朝華

私は……超(スーパー)くそねみまじかるだ!

 そこには先程までとは違う、『戦士』の姿があった。

眠井 朝華

って言うの考えたんだけど、どうかな?

チーシャ

いや、夢の中で君の夢を語られてもねぇ

 チーシャがため息をつく。
 そう、さきほどまでの出来事は私の創作、妄想なのだ。我ながらよくできた物語だ。

チーシャ

ちなみにさっきみたいな状況になっても、僕は君をかばう気ないから

眠井 朝華

……マジ?

チーシャ

マジ

 この日、私の人間不審度はちょっぴりアップした。

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