鈴石茜

肉だー!

佐島亮

…………

鈴石茜

ひっさびさの熱々のお肉だああああ

佐島亮

ファミレスのステーキで盛り上がれる鈴石先輩って一体どんな生活をしているのですか?

鈴石茜

あー……うち、両親が共働きだから……

鈴石茜

冷めた夕食をレンジでチンして食べるのが殆どでさあ

鈴石茜

こういうお肉は貴重なのぜ

佐島亮

……なるほど

佐島亮

で、本当にこれは鈴石先輩の奢りってことでいいんですか?

鈴石茜

勿論!

佐島亮

……めちゃくちゃ嬉しそうにいいますね

鈴石茜

え? あ、そ、そう?

鈴石茜

ミスったか……?

佐島亮

まあ、ゴチになりまーす

鈴石茜

よし、あんまり怪しまれていない

佐島亮

…………

鈴石茜

…………

佐島亮

…………

鈴石茜

…………?

佐島亮

先輩、なんか面白い話してください

鈴石茜

え?

佐島亮

間が持ちません

鈴石茜

う……うぬ……

鈴石茜

う、浮かばない!

佐島亮

またですか

鈴石茜

さっきカラオケで散々話題が出尽くしたから……

鈴石茜

お、美味しいね!

佐島亮

あ、はい、美味しいです

佐島亮

僕が食べているオムライスはとろけるたまごとチーズのハーモニーが最高です

鈴石茜

なんか棒読み感がする

佐島亮

そんなことないです美味しいです先輩

鈴石茜

ぐぬぬ……

佐島亮

僕は先輩ほど食べ物に感動とかしないんで

鈴石茜

そっかあ……

鈴石茜

あ、佐島くんの家ってどんな感じなの?

佐島亮

どんな、とは?

鈴石茜

いや……例えば兄弟とか

佐島亮

あー、兄が一人います。大学生の

鈴石茜

へえ

佐島亮

しかもめちゃくちゃまともです

佐島亮

ラノベも漫画も興味なし。本棚は文字だけの本ばかり……

鈴石茜

おそろしい人種だ!

佐島亮

まったくですよー

鈴石茜

じゃあ…………どこの大学に通ってるの?

佐島亮

……A大です

鈴石茜

な……A大?

佐島亮

A大の工学部です

鈴石茜

住む世界まで違う

佐島亮

まったくですよー

佐島亮

比べられる僕はたまったもんじゃないです

鈴石茜

く、苦労しているんだね……

佐島亮

鈴石先輩はどうなんです?

鈴石茜

私は一人っ子だよ

鈴石茜

だから兄弟とかちょっと憧れていたり

佐島亮

たまったもんじゃないですよー

佐島亮

まあ課題の答えを教えてくれるという点では利点ですかね

鈴石茜

ふうん……

鈴石茜

あれ? 佐島くんってもしかしてグリーンピース嫌いなの?

佐島亮

あ、はい。嫌いです

鈴石茜

見事に端に寄せられている……

鈴石茜

食べてあげようか

佐島亮

いいんですかー? ありがとうございます

佐島亮

さっすが先輩です!

佐島亮

頼りになりますっ

鈴石茜

そ、そんなに褒めるな!

鈴石茜

たかがグリーンピースごときで!

佐島亮

では、どうぞ

鈴石茜

ま、まったく、グリーンピースを食べてもらうくらいでそんなに喜ぶなんてまだまだ子どもだねぇ……

鈴石茜

ん?

佐島亮

はい、あーん

鈴石茜

な……っ

鈴石茜

『あーん』だと!?

鈴石茜

ボケなのか!? それともなにも考えていないのか!?

鈴石茜

分からない!

鈴石茜

ふ、普通に皿の上に乗せてください

鈴石茜

馬鹿

佐島亮

馬鹿ってなんですか

佐島亮

ちょっとした遊び心ですよ

鈴石茜

は、恥ずかしいじゃないか!

佐島亮

そうですか?

鈴石茜

まったく……

鈴石茜

何も考えていないパターンだった!

鈴石茜

ちょっと……勿体ないことしただろうか……

鈴石茜

い、いや、まだ付き合っているとかそういうのじゃないのにそんなこと……

佐島亮

この前伊能さんとアイス食べに行ったときも普通に食べてくれましたし

鈴石茜

な!?

佐島亮

いや、32アイスクリームで新作が出るからって連れ出されたことがありまして……

佐島亮

一口くださいっていうんで、それで

鈴石茜

そういうことを女の子相手に気軽にしちゃいけません!

佐島亮

えー? 何で急に怒っているんですか?

鈴石茜

この女たらし

佐島亮

えー

鈴石茜

多少脈があるとか期待した私が馬鹿だったかあ……

鈴石茜

っていうかアスナちゃんそんなことしてたのかあ……

鈴石茜

私ももっと積極的に誘ったりするべきなのかな……

ていうか……

若干ヤキモチ焼いちゃうんですけど!!

鈴石茜

はぁ

佐島亮

溜息吐くと幸せが逃げますよ

鈴石茜

はいはい、そうですねー

佐島亮

……?

佐島亮

そういえばこの後どうします?

鈴石茜

んー……7時過ぎか……うちは門限9時だからまだ余裕だけど

佐島亮

門限……

佐島亮

気にしたことないですねー

鈴石茜

あーあ。こういう時男子は羨ましいよ

佐島亮

やっぱり女子はそういうの厳しいんですか?

鈴石茜

うん、怖い人に狙われるからって

佐島亮

世の中そんなに物騒じゃありませんよ

鈴石茜

もしもってことがあるじゃん

佐島亮

そういうものですかー?

佐島亮

まあ、よければ送っていきましょうか?

鈴石茜

え?

佐島亮

僕は門限とかありませんし。明日も休みですし

鈴石茜

送ってく!?

佐島亮

鈴石茜

あ、お、お願いします……

送ってくだと!?

鈴石茜

な、なんか急展開きたぞこれ……

続く!!

これが急展開ってやつですか?

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