あいつめ・・・俺の邪魔はさせんぞ
いっぺんガツンといってやる
「まるで悪役のような主人公である。」
ん、この張り紙は・・・
「▲▲を探しています、○○町○○番地まで情報をください」
▲▲の所、汚くて読めないな
ま、いいか・・・
ん・・・あれは・・・
なんだ?あれは・・・
ちょっと近づいてみるか
よ、よう
ニャー
お前は何者だ?
ニャー
・・・
一匹なのか?
ニャー
そうか・・・
俺も生まれつき孤独の身だ
妹は・・・いるにはいるが除外しておこう
お前も寂しいよな・・・
・・・
一匹なら、俺の所にくるか・・・?
ニャーニャー
~自宅にて~
ここがゴージャスな我が家だ
存分にくつろいでくれ
・・・
そうか、そんなに嬉しいか
これからよろしくな!
・・・
「猫と魚が共に暮らすこの光景は
まるで虎と獲物が暮らすようである。」
じゃあ、ちょっと俺は不良品の所に用があるから出かけてくる
おとなしく待ってろよ!
ニャー
~白子の自宅にて~
おい
この間ぶりじゃの、兄者
とぼけるな、わかってるんだぞ
なにがじゃ
人を困らせるようなことをしたらだめだろ!
・・・
もしそれが本当だとしても
私は私の使命を全うしたまでじゃ
悪いことではないじゃろ?
ん・・・まあ
そう言われちゃ何も言い返せないが・・・
そんなことより、大変なんじゃ
話そらされた・・・
何がだ?
我々の天敵であるネコが最近頻繁に近くで見かけるようになっての
兄者も気を付けてほしいのじゃ
ネコ?なんだそれは?
新発売の鯖缶か?
知らぬのか?
鯖缶などという不味いものよりもっと不味いものじゃ
・・・
魚が大好きな生き物なのじゃ
それは良いことじゃないか
我々にとっては襲われる側だということをわかっているのか?
知らねーけど
まあ、大丈夫だろ
とりあえず昨日の件で疲れたから帰るぞ
じゃあな
・・・
わしはなぜ敵の心配をしておるのじゃろうか・・・
不思議なものじゃ
~自宅にて~
ういーす戻ったぞ
ニャー
でも、今日は疲れたから寝るぞ
ニャー
Zzz・・・
あのー
Zzz・・・
すぅー・・・
あのー!!!
あああああ!!!
だ、誰だお前は?
名乗ることはできないのですが、話を聞いてください
いきなり俺を起こして誰かも知らん奴の話を聞けとか・・・
実は困っているんです
・・・
何故だ
家に帰れないのです
私の家族も私を心配していると思います
そうか・・・
でも君みたいな可愛子ちゃんならここが家でもいいんだぞ
一緒に卵でも作らな・・・
・・・
すまん、冗談だ
だが、どうやって見つければいい
お前が誰だか分からない以上、当てすらもわからんぞ
いいえ、あなたは全てわかっているはずです
いやだから・・・
それでは、お願いします
いや、ちょっと待て
待て・・・あ・・・
これが悪夢ってやつか・・・
いや、悪夢にしては、心地よかった・・・
ニャー
・・・
自分で帰れないってことは、文字や言葉がわからない奴ってことか・・・
・・・
ちょっとお前と行きたいところがある
・・・
少し遠くて歩くのもだるいから、俺を咥えて連れて行ってくれ
道案内はきちんとする
ニャー
あ、ちょっと痛てえぞ!
と・・・とりあえず出発だ・・・
ニャー
ママー
どうしたの?
猫が鯖缶を咥えて走ってるよ!
あら、野良ネコかしら
月曜日が明日ってことね
どういうことー?
いいえ何でもないわ、行きましょう
はーい
さあ、ついたぞ
ニャー
恐らくここがお前のいるべき場所だ
んじゃ、俺は日曜日のみたいドラマが始まるから
帰り道だるいけど帰るわ
ニャ
達者でなー
ニャー・・・
・・・
・・・
ニャー!
ああ!!!あなた!!!
何処に行ってたの、ずっと探したのよ・・・
ニャー
私が拾ったばかりの猫が居なくなってるものだから
夫は私が拾ってすぐに捨てたのだと勘違いして出て行っちゃうし・・・
よかったわ、本当に
誰だか知らないけど、張り紙を見てくれたのね
きちんと説明すれば夫との仲も元どおりになるはずだわ
本当にありがとう・・・
ニャー
さあ、家に入りなさい
今度はしっかりと「名前」を付けてあげるわね
ニャー
本当にありがとう・・・
鯖の神様・・・
第五話へ続く・・・
とても励みになります
本当にありがとうございます