ふう、危なかった~

おはよう亜里沙。危なかったね。

おはよう~桜~

ひとりで登校なんて珍しいね。
今日は安藤君休み?

…安藤?…誰?

もう~亜里沙ったら~
また喧嘩したの~?
最近安藤君元気なかったのもそれ~?

ショート始めるぞ!静かに!

………………安藤?

今日はみんなに残念な知らせがある。
いずれ知ることになるから知らせておく。

安藤が死んだ。自殺だそうだ。

安藤?

誰だっけ?

…知らない。

担任の悪ふざけ…ではなさそう。




どうしてみんなは私を憐れみの目で見ているの?


どうして


どうして


どうして私は泣いているの?

なにか知っていることがあったら知らせてくれないか。
なんでもいい。

ショートは終わりだ。次の授業の準備をしておくように。

亜里沙…

私ね…今なんで泣いてるかわかんないんだ…

もう…無理しなくていいよ…

うん…

まさかOK貰えると思わなかったよ。

えへへ……

『安藤』の死を聞いてから私は理由のない空虚に悩まされた。


なにかとても大切な何かを失った気がする。


それが何かわからない。


安藤が誰かさえわからない。


苦しかった。理由のわからない悲しさが。



そんな苦しみから私は逃げた。

彼ならこの空虚を埋めてくれると。

安藤には悪いことしたかもしれない。
まるで弱みを狙ったみたいで。
だけど悲しむ君を見ていられなかった。

うん…ありがとう…

そういえばなんでこの道で帰ってるんだい?
亜里沙の家から遠回りじゃない?

え…

なんでだろう…私はなんでこの道を…

それはいつもの帰り道。

小学校から変わらない帰り道。

  との帰り道。

あたしってば最近わすれっぽくてさー

んー

土曜だ!って思ったら、もう月曜!ってなるんだよねー

んー

これは記憶?私の記憶?
違う、これは前の…ずっと前の私の記憶…?




私は誰と話してるの?

亜里沙は謎の組織に狙われてるんだ!

なにそれ!嘘へったくそー!!

そんなの言ってて恥ずかしくないんですかー?

っるせ!

…あれ全部揃ってる。

全部見つけといた!大変だったんだぜ!

全部あるから安心しろよ!今度は取られんなよ!

ねえ!まって!

んー?

あ、あなたは…

あなたは誰なの!

…ごめん

え?

忘れてくれないか。

待って!!!

どしたの?ぼーっとして。

あ、ごめん!
ちょっと先帰るね!

え…ちょっと…

これはフラれたかな。

でも君は―――――

思い出せたんだね。

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