ナイフが亜里沙の脇腹に突き刺される。
亜里沙……
どうしたの?こんなとこに呼び出して。
ごめん…
ナイフが亜里沙の脇腹に突き刺される。
許してくれなんて言わない…
けど次はきっと大丈夫だから…
どんな恨み言も受け入れなければならない。
こんな方法しかとることしかできなかったのだ。
そしてゆっくりと亜里沙の口が動いた。
……ゆる……すよ…?
…許す?
なんでだよ…なんで許すんだよ…
おかしいだろ!
私…知った…んだ…私偽物…だって…
え…
前の…私が手紙…書いて…くれてたんだ…
…手紙?
前の亜里沙は自分が死ぬことがわかっていた…?
そんなはずはない。だってどれも偶発的な事故だったじゃないか。
……違う…前の亜里沙は自殺したんだ。
まさか自分の現状を知って死んだのか…?
後は…パパと…ママに全部…聞いちゃった…
全部……私のため…なんでしょ…?
次の……私は……幸せにしてね………
知ってて受け入れんのかよ……
大…丈夫…文也が…助けて…
くれ……る……
こうして俺は愛する人を殺した。
そんな俺は自分を許せない。
すまない、亜里沙。
俺は次の君を幸せにする権利はない。
ごめん、亜里沙。
俺は自分の首にナイフをあてる。
一時間前
運命には抗えない。
運命は収束する。彼女の死は必然である。
ならばーーー
運命に従え。
いずれ来る結末を早めろ。
何が言いたい。
お前が彼女を殺せ。
そうすれば彼女の300という値は減少し奴らの実験対象ではなくなる。
俺に亜里沙を殺せだと?!
ふざけるな!!
いいのか?
彼女はいつまでたっても死を繰り返し実験道具だぞ?
ッ!!
彼女の死亡予定は一週間後だ。
今彼女を殺せば、運命は一週間という狂いが生じる。
それを背負うのは君だ。
俺にとったらこいつの正体なんてどうでもよかった。
この方法に確証があったわけでもない。
それでも俺はすがりたかった。
亜里沙の死を終わらせたかった。
この悲劇を終わらせたかった。