…………

11月20日、当日。


登校は何事もなかった。


そして何かあるとすれば帰り道。

……今日、変だよ文也。

ああ、変だよ。

この頃ずっとピリピリしてる。

………

帰り道だっていつも違うし。

まるで人を避けてるみたい。

ああ、そうだよ。

……なにかあったの?

いっそ言ってしまおうか。とは何度か考えた。

しかし自分の死を前もって知ることは絶望以外もたらさないと思う。
だから亜里沙の両親も言わなかったのだろう。

それに俺は死なせる気はない。運命だとしても。

…今は黙ってついてきてほしい。

……やだよ。

……

私ね!昔から思ってたんだ!

文也が困ったらたすけてあげようって!!
これまでのお返しにって!

けど文也は抱え込んで話してくれない!
そんな時が一番心配なんだよ!!

私が安心できる嘘一つや二つぐらい並べてみせてよ!!

………………

私は文也の力になりたいの。
どうせ私のことが絡んだりしてるんだしょ。

亜里沙にはかなわない。

だから俺は嘘をついた。

亜里沙は謎の組織に狙われているんだ!

冷静に、とても幼稚に。

なにそれ!嘘へったくそー!!

そんなの言ってて恥ずかしくないんですかー?

っるせ!

だから死なないでくれ。

まっかせなさーい。

真後ろからバイクが突っ込んできた。

キャッ!

それをよけた亜里沙がバランスをくずし地面に頭をぶつける。

亜里沙!!!

うう~超イタイ~

よかった。生きていた。

まるで過保護の親の気分だ。

よかった。本当によかった。

もう大げさだな~

きっとこの後も何か起こるかもしれない。

その心構えを忘れてはいけない。

それから何度か危ない目にもあった。

しかし亜里沙は難なく立ち回った。

そしてついに、亜里沙の家にたどり着くことができた。

俺はこれまで亜里沙を家まで送り届けられたことが無かったので嬉しかった。

これで死を回避できるそう思っていた。

今日は家まで送ってくれてありがと。

ああ、気にすんな。

この後、亜里沙はベットの上で心臓麻痺により死んだことを亜里沙の両親から聞いた。

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