消せばいいではないか

でも、誠人くんに消さないでって言われてるし……

他の女性の名を呼ばれたってところだけ、君の記憶から消せば楽になれるではないか

楽になれる……

そう、そして、宮川秋からの告白を断ったあと、君の中からその悲しい気持ちを消せばよいではないか!

ふむ、全く我は天才だな

それはできないよ……

ってゆーか、もう秋の高校生活を私のせいで邪魔したくない

君が宮川秋を引っ張り出してきたのではないか

わかってる! 自分勝手なことばっかりやってきたのは分かってる……

……

だから……

 私は決断をする。

出会った中学一年から今日までの、私と秋との出来事を、全部消してください

それは……彼の記憶から君という友達が完全にいなくなるということなのだよ?

わかってる……でも、それが一番いいの

彼も私も……前に進むために

では、消して進ぜよう……

 箱はうっすらと発光しだした。

ふむ……願いを叶えられるのもあと少しか……

こうして、宮川秋との想い出は全て、歴史から消えたのだった。

Part-A
『西岡杏月』

end...

pagetop