は? 誰だよお前

もう立てないぐらいになってるじゃないですか! 弱いものいじめはダメですっ!

弱いものって言うなっ!!

なんだこいつ、宮川の女か?

ちげーよ、こんなモサい女

見ての通り……

私は通りすがりの良い人です!

ぶははは! 何言ってんだ

笑ってる場合じゃないですよ、ざわちん

ざわちん……?

ぶっ、確かに似てる!! マスク貸してやろうか?

んだとこらぁ! 俺は男だぞ!

もうすぐ先生来ますからっ!

こいつ、先公にチクってやがったのかよ

まあ、もう十分だろ、二度と俺らに逆らうんじゃねーぞこら

けっ

女に守ってもらって、弱えーなお前!

くそっ……

 そう言って不良たちは去っていった。

先公呼んだのかよ

うそぷー

……うざ!

はい

 ハンカチを差し出す杏月ちゃん。

鼻血拭いて

いいよ……

いくないから!

ハンカチが汚れちまうだろ

黙って鼻の中に入れなさい馬鹿!

 無理やりハンカチを鼻に当ててくる杏月ちゃん。

うわわわ!

あんた、いつもいつも何なんだよ。オレを庇ってなんの得があんだよ

 そう、オレが喧嘩してると実はいつも駆けつけてくるこの女。
 いや、オレだけじゃない、何かもめごとがあるとすぐ顔を出す真面目ちゃん。

え? だって誰かに助けて貰えたら嬉しくない?

いやだって、こっちはオレ一人だぜ?

だから私が守ってあげるんじゃん

あんた、もしかして喧嘩強いとか? 元ヤンめがねちゃん!

は? 喧嘩したことないわ

じゃああんたもやられてたかもしんねーんだぞ? 女に何ができんだよ

ハッ!!

ハッ、じゃねーよ! あんた馬鹿か?

もしかして私、危ないことしてた?

ああ! めちゃくちゃな!

そうだったんだ……知らなかった

おいおい! 俺に説教されてどうすんだよ!

とにかく喧嘩はよくないよ。うん

しるか、身に降る火の粉を払っただけだ

何そのカッコいいセリフ……メモメモ

変な女……

SP-2『宮川秋、身に降る火の粉を払う』

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