んー、じゃあ、友達が欲しい……

えっ、友達!?

なんて、冗談っ。秋が友達になってくれたしね、今はそれで十分かな

友達で十分か……ですよね

ん?

わかった! 今度オレの友達連れてくっから! 一緒に遊ばね!?

え? 緊張するんだけど……私で大丈夫かな?

大丈夫大丈夫! 杏月ちゃん良い子だし、すぐ仲良くなれるよ!

女子?

あったりまえじゃん!

(男子なんか連れてきてライバル増やせるかってんだ)

(秋、他の女子にも仲良い子いるんだね。まあそれが普通かな)

 こうしてカラオケを出て、帰路につく私達。

杏月ちゃん、じゃあ今度の日曜、みんなで遊園地行こうな!

うん!

さっそく声かけとくわ!

ありがとっ!

いいよ! 杏月ちゃんが喜んでくれるなら!

てか、今日も本当にありがとっ!

凄く、凄く楽しかったよっ!

(うわー、そんな顔で喜ばれるとヤバいよオレ……)

どしたの?

いやいやいやいや!

あ、そうだ、杏月ちゃんも日曜誰か連れてきてもいいよ?

ごめん……私、友達いないからお願いしてるの

わっ! ゴメンゴメン! 無神経だった! あー、何言ってんだオレ

いいのっ! 秋と再会できて私本当に良かった

(杏月ちゃん……)

杏月ちゃん、オレ……!

ストーップ!

えー!?

それ以上はだめ! また消さないといけなくなるから!

消す? なんのこと?

や、こっちの事情なんだけど……

に、日曜日、楽しみにしてるねっ! バイバイ!

お、おう……またなっ!

 そう言って私はその場を去った。

 ずるずると壁にもたれこむ秋。

(はあ。やっぱ杏月ちゃん可愛いよなぁ……)

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