ちょ、誰が俺の身体に触れていいって言ったんだよ

ご、ごめんなさい

 掴んでいた手を、さっと離す私。

ったく、俺から触るのはいいが、人に触れられるの嫌いなんだよ

ジャ、ジャイアニズム……

で、お前、昨日俺に天使見せてくれるって言ったじゃねーか

て、天使って、ウリエルのこと!? なんで知ってるの!?

おいおい、お前が信じろって言い出したんじゃねーか

 どうやら私の記憶がおかしいらしい。
 考えられることと言えば……

 私は小声でウリエルに呟く。

ウリエル! まさか私の記憶消した?

うむ

そんな! なんで!

君が望んだのだよ

えっ

君が望んだのだ。我は勝手に消したりはせぬ

うそ……

 それが本当だとしたら……

 イケメン堀坂誠人と仲良くなれたかもしれないチャンスを消すなんて、どうゆうつもりなんだ私。
 まあでも、そこまで好きな訳じゃなかったし、いいかな。

 待って……そうなると、なんで告白なんてしたんだろう。


 ということは、やはり私が願ってウリエルに消してもらったんだろうか。

お前、天使と喋ってるのか? そこに天使がいるのか?

ってか、初対面でお前とか酷くないですか!?

初対面? てか、名前知らねーし

私は西岡杏月! ちなみに杏月は『つ』に点々の、あづき

杏月!

はいっ!

 いきなり呼び捨てかよっ!
 ドキッとするじゃん。

その天使に、俺の願いを伝えてくれないか?

えっ? いいですけど……

 なるほど、それで天使に会いたくて私を待ってたのか。
 でもこんな非現実的な話、よく真に受けたね。
 よっぽど純粋なのか、それとも願いが切実なのか?

ね、願いは、なんでしょう……?

 彼は真っ直ぐな瞳で私を見つめる。

真帆に会わせて欲しい……

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