そう言いながら教室を出る私。
誰とも話すことなく終わる一日……
我と話したではないか
あ、そか。言い直す
人と話すことなく終わる一日……
そう言いながら教室を出る私。
今日は秋、来てないかな?
二日続けて来るとか女々しいだろう
そかな。でも秋、私に告白したことは忘れてるんでしょ?
うむ。昨日消してやったからな
もう一個何か忘れてるような気がするんだけど。ウリエル、昨日他に何かあったっけ?
はて……我にはわからんのだ
ま、いっか
そして校舎を出る。
おい
すると玄関先で男子から声を掛けられた。
振り向くとそこには、見覚えのある美少年が立っていた。
堀坂誠人……?
彼は校内でもファンクラブができるほどのイケメン男子、堀坂誠人。
イケイケの彼女持ちとの噂も。誰かが女子トイレでそう噂をしてた。
まあ私は彼の名前を知ってるぐらいで、特に関係のない話だけれど。
横を素通りする私。
すると振り返りざま、二の腕を掴まれた。
ちょ、お前
ひゃい!?
私は声を裏返しながら、素っ頓狂な返事をする。
待ったぞ
わ、私!?
誠人くんが待ってたのって、あの子!?
うそ、あれが彼女!?
地味じゃね?
校内でも人気の堀坂誠人だ。
周りにいた女子がざわめく。
しかしミーハー女子の言うことはこれしか無いのかね。
なんでだよ
そうそう、なんで私を待ってたかというのが問題だ……
って、何が……ですか?
なんで昼来ねえんだよ
えっと、誰かと間違ってませんか……?
お前、俺に天使見せてくれるって
て、天使!?
ちょ、聞いた!? 今、彼女のこと天使だって
うそ!? あのクールな誠人くんが?
お前は俺の天使だとかなんとか……
やだよー! そんな!
周りの女子が悲鳴を上げている。
いやいや違いますから!!
咄嗟に否定する私。
ちょっと、来て!
私は彼の手をとり、校舎裏へと走る。