見られてたんだ……。
お前、誰と話してたんだ?
見られてたんだ……。
い、いえっ、あの、天使と……
は……?
彼は少し引いた顔でそう呟いた。
まあ当然の反応ですよね!
や、本当なんですっ! 信じてもらえないかもしれないけど……私には見えるんですっ!
少し間が置かれたあと、彼が呟く。
……まじなの?
そんな反応!?
うそん。
そういえば、うちの学校は制服はあるけれど、私服登校も許可されている。
だからっていつもパーカー被ってる堀坂くん。
クールってゆーか、不思議系なの?
天使、信じてくれちゃったりするわけ?
まじです! ほらここっ!
ウリエルの後ろに回り、両肩に手を当ててズイッと堀坂くんの前に突き出す。
ちなみに私だけはウリエルに触れることが出来るみたい。
がふっ
ほらっ! 今、がふっとか奇妙な声を出した!
君はいつも我の扱いが酷いのだ
堀坂くんは私の前のウリエル辺りを、色んな方向から見回す。
……俺には見えねーな
ですよねー
そう言った矢先、ウリエルの肩に置いている私の手に、彼は片手を重ねてきた。
えっ……
少し血管の浮いている堀坂くんの手は温かく、その熱が私の心臓に火を灯したかのように鼓動を早める。
ウリエルごしに向き合う私と彼。
本当だ。手が浮いてる……
堀坂くんは私の手に力を加え、天使の存在を確認していたようだ。
わかります!? ここにいるんですよ!
ウリエルの肩を揺らす私。
あぐんあぐんあぐん
その時、昼休み終わりの予鈴が鳴り響いた。
ご、ごめんなさい。引き止めちゃって
なあ、天使って、願いとか叶えてくれる奴か……?
え、うん。……そだよ一応
そこへ向かい校舎の方から先生の声がする。
堀坂ー! 早く持ってきてくれ!
あ
堀坂くんは荷物運びの途中だったようだ。
明日……
えっ?
明日もここで会える?
……はいっ!
約束な
はにかんだ笑顔で、そう呟く堀坂くん。
やば……
そして彼は段ボールを抱え校舎へと去っていった。
なんと、堀坂誠人くんから誘われた私。
あんだけ告白失敗したのに。
黒歴史、消えてて良かった……。
やったよーウリエル!
嬉しくてウリエルの肩を揺さぶる私。
あぐんあぐんあぐん
この恋、もっかい頑張ってみよっかな……
……酔ったではないか