昼休みに寒空でぼっち飯……いやウリエルと一緒飯の後、渡り廊下の自動販売機でジュースを買った私。

ぬー! えいっ! えいっ!

 ただいま、缶の蓋と格闘している最中。

 あったかい黄昏ピーマンを買ったはいいけど、プルタブが固くてなかなか開かないの。

ちょ、ウリエル! 開けてよっ!

 缶を持った手をズイっとウリエルに差し出す私。

我は直接下界の物には干渉できんのだよ

 ウリエルはそう言って両手を上げて肩をすくめる。

もうっ、役立たず!

すまないのだ

 しょぼんとなるウリエル。

……ごめん言い過ぎたっ。本当は一緒にいてくれるだけでも嬉しいから

 基本、ぼっちだったから、天使であろうと幽霊であろうと話相手がいるのは嬉しいの。

ぶはは! 君は実に寂しいことを言う!

ちょ、いま笑うところじゃないからっ!!

 無神経な発言が玉にキズ……。

(……独りごと女?)

 その時、急に私の目の前に手が差し伸べられた。

貸してみ

 私の手から黄昏ピーマンが奪われる。

あっ……

 その先には片手で段ボール箱を持った堀坂誠人。

……

 彼は片手で缶を持ち、その人差し指だけでプルタブを引く。

ほらよ

 なにこれ、男子ってこんな開け方できんの!?

あ、ありがとう……ございます!

 深々とお辞儀する私。
 髪の毛がぶわっと宙を舞う。

……

おい……ひとつ聞いていいか?

ひゃいっ!?

お前、誰と話してたんだ?

A-6『黄昏ピーマン事変』

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