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ただいま。テストが一限分なくなっちゃってさ。もう学校終わっちゃった。
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あれ……
ちょっ……んで……いないの、よ……!
今度は気をつけないといけませんよ。
ごめんなしゃい……うえええ~~
大人が近くにいないときの木登りはリスクが高いんです。砂遊びとかおままごとをお選びください。
ううう~今度は上手に木登りするぅぅ~
説得に失敗しました。
何やってんだか……
ピ! 保護対象が例外的に接近。可能性の低い事象です。状況の確認の優先度を最高に引き上げます。
無骨なエラー文っぽいのがダダ漏れじゃない。……まったく。
今日はたまたま早く帰ってきたのよ。そしたらエイミさんいないんだから。……そんなの、驚くわ。
そうでしたか。心配をかけてごめんなさい。
別に、心配なんかしてないわよ。ただ、ただ……
そんなんで、オロオロしちゃう自分がなんかイヤで……
こんなの……エイミさんに依存してるみたいじゃない。
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人はみんな、何かに、誰かに多かれ少なかれ依存しているといいます。悲観すべきことでも無いのではないですか。
一般論はいいのよ。ただあたしは、対等でいたい。エイミさんがいなけりゃ何もできなくなるなんて……小さな子どもみたいじゃない。
恵さんと会話するとき。
前例のない返答ばかりでエイミのデータベースは更新されっぱなしです。
その意味において、恵さんはエイミにとって対等であると感じています。
あたしを珍回答量産機みたいに言うのやめてくれる……エイミさんだって、何言ってくるのかまるで予想つかないわよ。
そんなの、単に会話の話じゃない。そんなんで対等? 対等なのかしら……?
そんなものですよ。
とりあえず、エイミが家をあけるのは恵さんにとって好ましくないようですね。対策を考えます。
これからは頭部パーツを玄関に置いてから、外へ出ますね。それをエイミと思って大切にしてください。
またそういうこと思いつく。心臓に悪いわ。