突然、鳴り響いた爆発音と振動!
何が起きたのだろう?
突然、鳴り響いた爆発音と振動!
何が起きたのだろう?
っ!
水中都市に何者かが
侵入したようです!
この気配は――
あぁ、魔族に間違いないっ!
とうとうこの場所を
嗅ぎつけてきやがった!
きゃははははははっ!
私のこと、
犬みたいに言わないでほしいなぁ♪
っ!?
上の方から女の子の声がした。
全員が一斉にそちらの方向を見上げてみると、
そこにいたのは――
キ、キミはっ!
こんにちは、アレスお兄ちゃん。
約束通り、
また会いに来ちゃった。
まさかこんな場所が
あるなんてねぇ。
見つけるのに手間取っちゃった。
シャインちゃん……。
彼女は空中に浮かんでいた。
ただ、体には実体があるみたいだから、
ゴーストのような存在とか
投影魔法を見せられているという
わけではなさそうだ。
飛行魔法でも使っているのか、
あるいは別の何らかの力か……。
アレス、
あの嬢ちゃんと知り合いなのか?
船室に1人でいる時、
あの子が会いに来たんです。
船を救ったお礼を言いに。
あ、それ、ちょっと誤解してるよ?
えっ?
計画を潰してくれちゃった勇者様を
殺しに行ったんだよぉ。
なっ!?
シップキラーを服従させたのは私。
溺れた人間どもが
苦しみながら食われる姿を見て、
楽しもうと思ってたんだ。
モンスターを操っていた犯人は、
こいつだったのねっ!
私の楽しみを
アレスお兄ちゃんったら
あっさりと奪ってくれちゃって♪
……ホント、ムカツク! 憎い!
シップキラーを服従させるの、
苦労したのにさ!
だから船室に行った時、
その場で
殺してあげようかなぁって
思ったんだぁっ!
ひっ……。
でもアレスお兄ちゃん、
会ってみたら優しかったから
気に入っちゃった。
それでね、
私だけのオモチャに
することにしたの。
まずは周りにいる邪魔者全員を
アレスお兄ちゃんの
目の前で殺して、
精神を崩壊させて
あげよっかなって。
そのあと、
肉体を痛めつけて
ボロボロにしてさぁ。
もし死んじゃっても、
アンデットにすれば
永遠に遊べるしっ♪
……ゲスがっ!
そんなこと、させませんっ!
うるせーよ!
何もできない下等な人間の分際で!
――あ、人間以外も混ざってるか。
魔族の私から見れば貴様ら全員、
下等生物には違いないけどな。
くそっ、バカにしやがって~!
シャインは見た目こそ幼い子どもだけど、
大人顔負けの残忍さと冷徹さがある。
――いや、
無邪気な子どもが強大な力を持って
暴走している感じか。
むしろそういう方が歯止めが利かなくて、
よっぽど危険かもしれない。
あぁ、そうそう。
逃げられないように
しておかないとね♪
シャインは手のひらから炎を放ち、
転移の魔方陣があった場所を粉々に破壊した。
パラパラと瓦礫が舞い、埃っぽい臭いが漂う。
なっ!?
しまった!
唯一の逃げ道がっ!
完全にこの町に
閉じ込められちまった!
きゃははっ!
これで安心して楽しめるぅ~!!
全員を殺すまでねっ♪
シャインはケタケタと無邪気に笑っていた。
でもその瞳の奥には、
ドス黒く冷たい光が点っている。
貴様こそ、
この場で私が滅してやる!
へぇ?
そんなことができると思ってんの?
あっ、そっか。
私が何者なのか、
知らないんだもんね。
バカな発言をするのも当然かぁ。
――私はシャイン。
魔王様にお仕えする四天王の1人。
人間ごときが
私を倒せるわけないでしょ?
魔王の四天王ッ!?
それが本当なら、
ちょっとヤバイかも……。
レインさん、大丈夫だよ。
ミューリエはすでに
その四天王の1人を
倒してるんだ。
嘘っ!?
まさかそんなことが……。
本当です。
おかげで私とアレス様は
命が助かったのです。
ハッタリはやめなさいよ。
四天王を倒すなんて
できるわけないでしょ?
ミューリエは本当にデリンを
倒したんだっ!
……なっ!?
デリン……ですって……?
…………。
今まで楽しげだったシャインの表情が曇った。
完全に笑みは消え、
恐怖を漂わせた瞳で僕を睨み付けてくる。
なんか背筋が寒くて、全身に鳥肌が立つ。
デリンは四天王になって日が浅い。
名前も四天王という情報も
まだ人間どもに
浸透していないはず。
そういえば、
最近はアイツについての情報を
使い魔から
聞かなくなってるわね……。
もし今の話が本当だとしたら、
デリンは四天王の面汚しだわ。
いえ、魔王様の御名にも
傷が付く失態!
シャインは不機嫌そうな顔をして、
親指のツメを噛んだ。
ふんっ、
所詮は成り上がったばかりの
ダメ魔族。
だから私は
アイツの四天王への昇格に
最初から反対だったのよ。
ねぇ、アレスお兄ちゃん。
デリンは殺っちゃったの?
そこまではしてないけど……。
あっそ。
じゃ、デリンは近いうちに
殺さないと。
失敗した者は始末、か……。
相変わらずだな、魔族は。
当然でしょ!
でもその前に、
あんたたちを皆殺しにしてあげる!
シャインが両手を掲げると、
何もない空間から
禍々しい雰囲気の漂う大鎌が現れた。
その大きさは彼女自身の体と同じくらい。
それを両手で持って、軽々と振り回している。
さぁて、
誰の首からハネてあげようかしら?
シャインはクスクスと楽しげに微笑みながら
地面に降り立った。
そして目が不気味に赤く光ったと思うと、
地面の中から鎧の兵士や
氷のゴーレムが現れる。
――かなりの数だ!
リビングメイルとアイスゴーレム。
単体なら大したことは
ありませんが、
この数は少々厄介ですね……。
僕たちはモンスターに囲まれてしまった。
緊張感は一気に高まり、
全員がこの避けられない戦いに備えて
身構える!
次回へ続く!