なんか変な教師がきた、とクラス全員の心が一つになった。
おじいちゃん先生こと山中先生は還暦をとっくに過ぎているのに教壇に立つ謎の先生で、いつもぷるぷる震えながら授業をしていたから、急病で来られなくなったと聞いてもあまり驚きはなかった。
山中先生の授業はお坊さんの読経を聞いているようで多数の幽体離脱者を生産したので、とても面白いというわけではなかったが、進め方は丁寧だし、真面目な(というより襲い掛かる眠気に打ち勝った)生徒には好評だったのだ。
そして、代わりに来たこの岡崎という男はどうだろう。
授業を真面目に受けなくてもテストの点さえ良ければいいと言うし、言動も雰囲気もなんだか胡散臭い。しかもよれよれの白衣に火を点けてはいない煙草をくわえるという珍妙なスタイル。色っぽいイケメンというのが唯一評価できる点だろうか。
とにかくまともな授業にはならないだろう、という確信が生徒全員の中にあった。