ここはとある場所にある図書館。
 どの世界にもあり、どの場所にもある図書館。
 様々な外見な図書館で中は全て同じ場所へ繋ぐ図書館。
 外見からは想像出来ないほど大きく、どこまでもある図書館。
 そこの図書館にいる司書と助手の物語。
 
 僕の名前はミスミ・カエル。この図書館の司書である先生の助手をしている。
 この図書館は塔の中のようになっていて、上に延々と続いている。側面にはぎっしりと本が並んでいる。
 この図書館はあらゆる世界のあらゆる本が置かれている。
 そして、この図書館の入口で高級そうな椅子に座り本を読んでいるのがこの図書館の管理者であり、司書の零月透さんだ。僕は先生と呼んでいる。
 先生はいつもそこでお客さんが来るのをずっと待っている。この図書館の貸出料金は無料。返却期限は本人が死亡するまでという仕組みだ。
 返却された本は入口にそっと置かれる。その度に先生は悲しそうな顔になる。
 この図書館の中だと時の流れが進まなくなる。それにより本の腐敗と寿命を止めてる。
 入口から鈴の音が鳴る。鈴の音は反響し、全体に響き渡る。お客さんだ。
 お客さんは10歳ぐらいの少年だった。服装から察するに2020年の子だろうか。怯えてるようで今にも泣きそうになっていた。
「いらっしゃい」
 最初に声をかけたのは先生だった。
「あ……あの、借りられる本はありますか?」
 そう小さく少年は先生に言った。
 「えぇ、ここにある本はなんでも借りられますよ」
 先生は優しい、どこか安心出来る声で言った。
 「あの本をください」
 少年は1冊の本を指さした。先生が本を取るとそれは子供向けの小さな絵本だった。
 「はいどうぞ」
 先生は少年に本を渡すと少年は少し笑顔になったように見えた。
 少年は本を手に図書館を後にした。

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