人気のない校舎裏のゴミの集積所で、為人は集めたゴミをポリカーゴに詰め込んでいた。

がさがさ…

がちゃん!

為人

ふう、ゴミ、
これで全部ですね…

為人

この間から寝付けなくて少し寝不足です…
おばーちゃんには心配かけたくないです

為人

体動かしていると、余計なことを考えなくて気が楽です…

そこに背後から歩み寄ってくる者の姿があった……

犬上くん!

為人

あ、先輩…

……

為人

……?

…シンヤに会ったでしょ?
どう思った?

為人

しんや?
誰ですか?

むっ!

とぼけないでよ
私達にとっては、あなたみたいな新入りの野良犬が暴れるのが一番困るの

為人

……

為人

新入り?
野良犬?
…どういうことでしょうか?

私達のコミュニティに入るか、
それが嫌ならこの街から出ていってほしいわ!

為人

コミュニティ…
ということは、この間の男の仲間…?

私達は人間として普通に生活できればそれでいいの!

最近ルールを守らない人たちが
問題を起こして困ってるのよ

このままじゃ、みんな共倒れになっちゃう!

コミュニティはみんなを守る
ための取り決めなのよ!

為人

……

それに従えないなら…
こちらにも考えがあるわ!

為人

…先輩ももしかして…?

え……?

ちょっと、マジで…?
この子、本当にわかってないの?

……驚いた…
気がついてなかったの?

不安になるレベルの無自覚天然タイプね!

為人

へ?

どうやらホントに理解してないみたいね?

狼男と聞いてたけど…
鼻が利かない…とか?

見た目で判断しちゃったのよね
人相悪すぎて、絶対になにか
企んでると思ったわ

うーん
狼男って人相悪いのかなー
…とか言ったら気悪くするわね
あはは☆

為人

……?

う~ん…

いきなり言葉キツくて悪かったわ…
ごめんなさいね

あなたが反抗してると誤解してたの…
最近、ホントに変な人たちが
増えちゃって…

ともかく…
コミュニティのことはちゃんと考えておいてね?
私達にとっては死活問題なの

為人

は、はい…

じゃあ…

為人

人の足音がしたので、先輩はその場を去りました

為人

先輩も人外だった…?
人狼?
ではなさそうな…?

よいしょ!

足音の主は潰した段ボール箱の束を抱えた木梨だった。

為人

あ、ダイジョブですか?
ボク、手伝います

二人は手分けして段ボール箱を指定の場所に置き、顔を見合わせた。

ありがとー!
助かるわぁ

今さっき、斎原先輩いてたでしょ?
何話してたん???

為人

あ、ええと、その…

ゴミ、ご苦労さまって…

なるほどー!
さすが斎原先輩、気遣いやわー!

私、先輩に憧れてるね~ん♪

為人

とっさに嘘ついちゃいました…

掃除ももうすぐ終わるし、
戻ろか

為人

ハイ

部費でお茶代でるらしいで♪

為人

ボクたちは一旦、
部室に戻ることにしました

つづく

第6話 4 オオカミ少年、話しかけられる

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