クロウ

え・・・かった?

いまだに実感できずに問い返す

アリスト

ああ、お前の勝ちだ
正直まける気は無かったが・・・
最後のあれはすごかったな!

最後、というとあれだ

身体強化の重ねがけ

体に纏う魔力を多くするのではなく重ねる

同じようなことと思うかもしれない

厚い層が1つあるか細かい層がいくつもあるのかといった些細な違いだ

だけど、成功したのは良かった

駄目で元々の作戦

結果として勝つことができた

クロウ

ありがとうございます!
アリストさん、僕は・・・

アリスト

ああ、まず一つ目の試験はクリア
後は・・・

クロウ

依頼・・・ですね

アリスト

ああ、最近はBランクまで上がる奴も減ってきたからな
今回はどんな依頼をやらされるんだか

・・・?

減ってきた?

クロウ

減ったってどういうことですか?

アリスト

最近魔物の生息地が変わってきているとでも言えば良いのか
ちょっとした森にかなり強い魔物が出たりしてな
皆怖がって試験を受けやしねえ

そんなことが・・・

アリスト

おかげでAランク以上の奴らは最近仕事が増えて大変だよ
Bランクへと上がる奴が居ないから依頼もへらねえし
もう最悪だな

クロウ

僕もやるだけはやりますよ

アリスト

ああ、頼むよ
だがその前に試験に受かってくれ

そういって笑う

アリスト

さて、今日は一回ギルド長に報告してから帰れ
依頼の方はこちらが選ぶことになっている

クロウ

分かりました
じゃあこれで失礼しますね・・・ッ!

体をひねり出口へと向かう

瞬間

頭が痛みに襲われる

痛い、痛い痛いイタイイタイイタイイタイ!

クロウ

グッ!?グゥゥゥゥ!!?
あ、頭が・・・!

アリスト

おい!どうした!?
大丈夫か!?

僕は立っていられずに地面に倒れこむ

ああ、意識が・・・

アリスト

待ってろ!今回復魔法を使える奴のところに・・・

僕の意識はそこで途切れた

どれぐらいの時間がたったのだろうか?

ゆっくりと目を開ける

よぉ、久しぶりだなぁ
ずいぶんと無理をしたなぁ

目の前には依頼を皆で受けたときにいった遺跡であった人が居た

クロウ

あなたは・・・

その剣もそこそこ使えているみたいだな
感心感心

クロウ

それにここは・・・

いや、今回は結構時間が取れそうなんでな

ゆっくりと

そのしなやかな腰に刺した剣を目の前の人物は抜き放つ

折角だ
少し鍛えてやるよ

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