うわあ!?

うおっ!

あ、移動は省略させていただきました! 

ちなみにおやすみ時間中に疲労回復の魔法を少々かけさせていただいたので、すっきりな目覚めだと思います! 

では引き続きお楽しみください!

 一方的なセイさんの声が、現状を分かりやすく説明してくれた。

本の場面変換みたいに唐突ね……

 ミドリが苦笑する。確かに、と俺も笑う。

ここは……屋敷ね

 暗い、暗い屋敷だった。

 長い廊下に、俺たち二人は立っていた。ところどころに、ぽつりぽつりとろうそくの明かりが見えるのが、この屋敷の不気味さを際立たせている。

魔王の、屋敷かな

たぶん……サンザシちゃんはどこだろう

 ぎぃ、と音がした。古い扉がきしむ音だ。ミドリがすくみあがるのも無理はない。こんな暗闇での音は、なんだって怖い。


 開いたのは、廊下の突き当たりの扉だった。

誰だ……

 低い、かすれた声と共に、声の主がのそりと姿を表した。


 大きな角に、銀色の髪。引きずるほどのマントを肩に乗せながら、ぎろり、とこちらを見る。


 赤い目が、俺たちを見据えていた。

あ、あの

 情けないことに、俺は気圧されて後ずさりしてしまった。

そこの、女

わっ、私!?

 ミドリが跳びはねる。どういうことだろう、俺たちの姿が、見えているのか?

なんだその姿は……鳥か?

 鳥?

お、おじゃましております、魔王様!

 俺のすぐ後ろで、声がした。

 振りかえると、サンザシがひょこっと姿を表した。さっきまでいなかったはずなのに、どこに隠れていたのだろう?

魔王様……この人が

 ミドリが、魔王に近づいた。

 魔王は、ミドリに見向きもしない。

 どうやら、俺たちを見ていたのではなく、俺たちの後ろにいたサンザシに目をやっていたようだ。

おじゃましております、じゃないだろ……忍び込んでいたくせに

 地を這うような声に、サンザシは縮みあがっている。

ノ、ノノノ、ノックはしました! ノッカーは植物に覆われていましたので、私は思いきり手を、何度もぶつけて、こう、ゴンゴンと!

 身ぶり手振りで必死に伝えるサンザシを見て、ふ、と魔王は笑みをこぼした。

……あ、笑った

 心のなかで思ったことがすぐに外に出てしまうサンザシ。

 慌てて口を押さえるサンザシを見て、魔王はくつくつと笑い続けている。どうやら、悪い人ではなさそうだ。

だから、手に傷があるのか

あっ、えっ、あ! 本当ですね!

 サンザシが、自分の手を見ぴょんと跳ねる。魔王は目を細めて、サンザシを凝視する。

それにも気がつかず、なぜ、俺に会いに来たかったんだ? 用事は何だ? 

俺の魔力は、誰にも使わせん。お前のその傷も、自分で治せ!

ひゃあ!

 叫び声だけで、屋敷の中に風が吹いた。サンザシは、きょとんとしながら、

すごい……

 と呟く。拍子抜けしたのだろう、魔王はふん、と苦笑した。

もう一度だけ聞いてやる、用事は何だ?

いえ、お会いしたかっただけです

 魔王が眉をつりあげる。

こんな、夜中にか?

はい! 朝には仕事がありますので!

俺が寝ているとは考えなかったのか?

そのときは、また次の夜にと! でも

 サンザシがくしゃりと笑う。

お会いできました

 奇妙な生物を見る目つきで、魔王はサンザシを見つめていた。

……用事は終わりか

あ、はい! あの、でも、もしよろしければ、またお会いしたいです! あ! 自己紹介がまだでした! 私、サンザシ、と言います。サンザシ・モリー

ふうん、サンザシ

魔王様は?

7 記憶の奥底 君への最愛(11)

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