度重なる失敗に、アマテラスは意気消沈していた。鳴女とワカヒコの死が相当こたえたのだろう。

アマテラス

ねぇ、オモヒカネ ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうしよう。

オモヒカネ

どうしようって ・ ・ ・ 随分と大雑把なフリですね。

アマテラス

ぶぅ。だって話が全然、前に進まないんだもん。むしろ悪化してるじゃない。

オモヒカネ

そうですね。


アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ねぇ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 私 ・ ・ ・ 間違ってたのかな ・ ・ ・ ・ ・ ・



今日は珍しく弱気だ。いつものワガママ娘の影も無い。オモヒカネは少し考えてから慎重に言葉を選んで答えた。

オモヒカネ

私は、アマテラスが間違っているなんて思っていませんよ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも、きっとオオクニヌシも間違っていないんです。

アマテラス

・ ・ ・ なんであのチャラ男が間違ってないのよ。あんな他力本願で作った国なんて長く持つわけないじゃない。海外から攻められたら一発で滅びるわよ。

オモヒカネ

他力本願だろうと彼は人の為を想って国を作りました。それは間違ったことではないでしょう?証拠に彼は皆から好かれている。

アマテラス

でも ・ ・ ・ それなら最初から何もしなければ良かったんじゃない?そしたら鳴女もワカヒコも死なないで済んだもの。

・ ・ ・ ・ ・ ・ やっぱり私が間違ってたのよ ・ ・ ・

オモヒカネ

アマテラス ・ ・ ・ なぜそうやって片方を間違いにしたがるんですか。双方が正しくても対立することは珍しくありません。

アマテラス

だって ・ ・ ・ ・ ・ ・


アマテラスの目からは今にも涙が溢れそうだった。いつもこのくらい潮らしくしてくれれば可愛いのに。

オモヒカネ

貴方は、オオクニヌシよりも、天つ神が治めた方が人々を幸せにできると考えたのでしょう?それは正しくないんですか?

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 傲慢じゃない?

オモヒカネ

トップの仕事は方針を決める事です。それは傲慢と呼びません。

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

オモヒカネ

我々だって、完璧ではない。どんな難問も一発で解決できるような手段を常に持っている訳ではないんです。失敗したなら、そこに学び手段を変えればいい。

オモヒカネ

重ねますが、私は貴方の方針が間違っているとは思わない。

元々は、貴方のご両親が作った国じゃないですか。私も天つ神が治めた方がより良い国にできると思っていますよ。



アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ りがと。




アマテラスは袖に顔を埋めてくしゅくしゅっと涙を拭くと鼻息荒く決意に満ちた表情に変わった。どうやら何か吹っ切れたらしい。

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ちょっと、オモヒカネ?こーゆう時はね、次に取る行動が大事なの。何かいいアイディア出しなさいよ!!

オモヒカネ

って、これは他力本願じゃ無いのか??
まぁ、取り敢えず元気になったみたいだからいいけど。

オモヒカネ

そうですね ・ ・ ・ ・ ・ ・ ワカヒコの件で、出雲は警戒心を強めています。次は、武力のあるものを向かわせた方が良いでしょう。最悪、戦争と言うことにもなり兼ねませんが ・ ・ ・ 良いですか?

アマテラス

ふん!ここまで来て『はい、やめます』なんて言わないわよ。この国を返してもらうの。それだけの事よ。

オモヒカネ

わかりました。では、天安河の川上にイツノオハバリという男が住んでいます。彼の息子のタケミカヅチを遣わすのが良いでしょう。

オモヒカネ

更に加え、空を飛ぶ船の神、アメノトリフネも一緒に向かわせます。彼は、戦艦のように迫力があるので、戦力に圧倒的な差があることを見せつけることができます。そうすれば、わざわざ剣を持って戦おうなどとは思わないでしょう。

アマテラス

うん。ありがとう、オモヒカネ ・ ・ ・ 次で最後にしましょう。

オモヒカネ

えぇ。大丈夫です。次こそ成功しますよ。


そう言って微笑むと、オモヒカネは出雲に遣いを出す手配に向かった。

pagetop